
目次
1.STP分析とは? ~市場を攻略するための地図を作る~
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字をとったマーケティングフレームワークです。 市場全体を顧客ニーズや属性に基づいて細分化し、その中から自社にとって最適な顧客層を選定し、自社の製品やサービスをどのように顧客に認知させるかを決定します。
例えるなら、広大な市場という大海原を航海する際の、羅針盤と地図のようなものです。羅針盤で進むべき方向(ターゲット)を定め、地図(セグメンテーション)で航路を確認し、目的地(ポジショニング)を目指して航海を進めるのです。
特にBtoB企業においては、顧客のニーズが多様化し、競争が激化する中で、STP分析を効果的に活用することが、航海を成功させる、すなわちビジネスを成功させるために不可欠と言えるでしょう。
2.なぜSTP分析が重要なのか? ~BtoBマーケティング成功の鍵~
STP分析は、BtoBマーケティングにおいて、以下の様な重要な役割を果たします。
顧客理解の深化
顧客を深く理解することは、すべてのマーケティング活動の基盤となります。セグメンテーションを通して、顧客のニーズ、行動、課題を多角的に分析することで、顧客像を明確に捉えることができます。
マーケティング効率の向上
限られたリソースを最大限に活用するためには、ターゲティングが不可欠です。 狙うべき顧客層を明確にすることで、無駄なコストを削減し、効率的なマーケティング活動を実現できます。
競争優位性の確保
多くの企業がひしめく市場において、競合との差別化は生き残りのために必須です。ポジショニングによって自社の強みを明確化し、顧客に選ばれる独自の価値を築くことができます。
顧客満足度の向上
顧客のニーズを的確に捉え、それに合致した製品やサービスを提供することで、顧客満足度を高め、長期的な関係構築へと繋げることができます。
売上増加
顧客理解、マーケティング効率、競争優位性、顧客満足度、これらすべての要素が向上することで、最終的には売上増加という成果に繋がりやすくなります。
BtoB企業においては、顧客との長期的な関係構築が重要となります。 STP分析によって顧客を深く理解し、ニーズに合致した提案を行うことで、顧客との強固な関係を築き、安定的な収益を確保することが可能になります。
3.STP分析の3ステップ ~詳細解説と具体例~
3-1.セグメンテーション:市場の解像度を高める
セグメンテーションとは、市場を様々な切り口で細分化し、顧客をグループ分けすることです。BtoB企業においては、以下のような軸でセグメンテーションを行うことが一般的です。
(1)企業規模
企業規模は、従業員数、売上高、資本金など、企業の規模を表す指標です。 企業規模によって、経営資源、意思決定プロセス、ニーズが異なるため、セグメンテーションに有効な軸となります。
| 規模 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 大企業 | 豊富な予算と複雑な意思決定プロセスを持つ ブランドイメージや信頼性を重視する傾向 最新技術や高付加価値サービスへの投資意欲が高い |
従業員数1,000人以上 |
| 中堅企業 | 成長意欲が高く、意思決定が比較的迅速 コストパフォーマンスと業務効率化を重視する傾向 柔軟性とカスタマイズ性のあるサービスを求める |
従業員数100~999人 年間売上高10~99億円の企業 |
| 中小企業 | 限られた予算と迅速な意思決定プロセスを持つ 実用性と価格を重視する傾向 操作が簡単で導入しやすいサービスを求める |
従業員数100人未満 年間売上高10億円未満の企業 |
(2)業種
企業が属する業種によって、抱える課題やニーズ、ビジネスモデルが大きく異なります。
| 業種 | 主な関心事 |
|---|---|
| 製造業 | 生産性向上、コスト削減、品質管理、 サプライチェーンマネジメント など |
| IT業界 | 最新技術の導入、人材育成、セキュリティ対策、システム開発など |
| 金融業界 | リスク管理、コンプライアンス遵守、顧客満足度向上、FinTechなど |
| 流通業界 | 効率的な物流、在庫管理、販売促進、オムニチャネル戦略など |
| サービス業 | 顧客満足度向上、サービス品質向上、人材育成、業務効率化など |
(3)地域
企業の所在地によって、文化、商習慣、経済状況、情報感度などが異なります。
(4)経営課題
企業が抱える経営課題は、セグメンテーションの重要な軸となります。
(5)購買プロセス
購買プロセスは、誰が意思決定者なのか、どのようなプロセスで購買が決定されるのか、どのような情報収集方法を用いるのかなど、購買に関する一連の流れです。
(6)企業文化
企業文化は、企業の理念、価値観、行動規範、組織風土など、企業の行動に大きな影響を与える要素です。
3-2.ターゲティング:狙うべき顧客を定める
セグメンテーションで細分化した市場の中から、自社にとって最も魅力的で、効率的にアプローチできるセグメントを選定することがターゲティングです。ターゲティングでは、以下の要素を考慮する必要があります。
(1)市場規模
ターゲットとするセグメントの市場規模は、自社の事業目標を達成するために十分な大きさである必要があります。
(2)成長性
将来的な成長が見込めるセグメントを選ぶことが重要です。成長市場であれば、顧客獲得の機会が増え、長期的な収益の確保に繋がります。
(3)収益性
セグメントの収益性は、自社の利益目標を達成するために十分な高さである必要があります。
(4)競合
セグメントにおける競合の状況も重要な要素です。競合が多いセグメントでは、顧客獲得競争が激化し、マーケティングコストが増加する可能性があります。
(5)自社の強み
自社の強みを活かせるセグメントを選ぶことが重要です。 自社の強みとセグメントのニーズが合致していれば、顧客に選ばれる可能性が高まります。
3-3.ポジショニング:顧客の心に自社の旗を立てる
ポジショニングとは、ターゲット顧客の心の中に、自社の製品やサービスをどのように位置づけるかを明確化することです。ポジショニング戦略を策定する際には、以下の点を考慮する必要があります。
(1)顧客ニーズ
ターゲット顧客はどのようなニーズを持っているのかを深く理解することが重要です。顧客のニーズを満たす製品やサービスを提供することで、顧客満足度を高め、購買を促進することができます。
(2)競合との差別化
競合他社と比べて、自社の製品やサービスにはどのような強みがあるのかを明確化し、顧客にアピールする必要があります。差別化を図ることで、顧客に選ばれる可能性を高めることができます。
(3)独自性の訴求
自社の製品やサービスの独自性をどのように顧客に伝えるかを検討する必要があります。独自性を効果的に訴求することで、顧客の関心を引き付け、購買意欲を高めることができます。
(4)ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、縦軸と横軸に2つの指標を設定し、自社と競合他社の製品やサービスをプロットすることで、市場における各社の位置づけを視覚的に表したものです。
▷ポジショニングマップの作成手順
- 指標の選定:顧客にとって重要な2つの指標を選定します。例えば、「価格」と「品質」、「機能性」と「使いやすさ」など。
- データ収集:自社と競合他社の製品やサービスについて、選定した指標に関するデータを収集します。
- プロット:収集したデータに基づいて、自社と競合他社の製品やサービスをポジショニングマップ上にプロットします。
- 分析:ポジショニングマップから、自社と競合他社の位置づけを分析し、自社の強みと弱みを把握します。
- 戦略策定:ポジショニングマップを参考に、自社のポジショニング戦略を策定します。
4.BtoB企業におけるSTP分析の具体例 ~製造業向けソフトウェア販売~
では、STP分析の具体例を見てみましょう。製造業向けに生産管理システムを開発・販売する企業のケースです。
セグメンテーション
- 企業規模:従業員数300名以上の製造業
- 業種:自動車部品製造業
- 経営課題:生産性向上、品質管理の強化
- 購買プロセス:情報システム部門と生産管理部門が共同で導入を決定
- 企業文化:品質を重視する企業文化
ターゲティング
- 上記の条件に合致する企業の中でも、特に従業員数500名以上の自動車部品製造業で、近年、海外展開を積極的に進めている企業をターゲットとする。
- これらの企業は、グローバル競争に勝ち抜くために、生産性向上と品質管理の強化に積極的に投資する意欲が高いと考えられる。
ポジショニング
- 「グローバルなサプライチェーンに対応した、高精度な品質管理を実現する生産管理システム」として、競合他社との差別化を図る。
- 多言語対応、クラウド対応、リアルタイムデータ分析などの機能を訴求することで、海外展開を積極的に進めている企業のニーズに応える。
5.STP分析を行う際の注意点 ~精度を高めるためのポイント~
STP分析を行う際には、以下の点に注意することで、より精度を高め、効果的なマーケティング戦略を立案することができます。
最新情報の収集
市場や顧客のニーズは常に変化しているため、最新の情報に基づいて分析を行う必要があります。市場調査や顧客アンケートなどを定期的に実施し、常に最新の情報を入手しましょう。
客観的な視点
自社の主観的な意見ではなく、客観的なデータに基づいて分析を行う必要があります。市場調査データや顧客データなどを活用し、客観的な視点で分析を行いましょう。
柔軟な対応
市場や顧客のニーズの変化に合わせて、STP分析の結果を見直し、柔軟に対応する必要があります。市場環境や競合状況の変化などに応じて、ターゲットやポジショニングを調整しましょう。
社内共有
STP分析の結果を社内で共有し、マーケティング活動全体で活用する必要があります。STP分析の結果を分かりやすくまとめ、社内全体に共有しましょう。
6.STP分析に役立つツールとフレームワーク ~分析を加速させる武器~
STP分析を効果的に行うために、様々なツールやフレームワークを活用することができます。
ペルソナ
ターゲット顧客を具体的に人物像として表現することで、顧客理解を深めることができます。ペルソナには、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観、ニーズ、課題など、具体的な属性を設定することで、よりリアルな顧客像を描き出すことができます。
カスタマージャーニー マップ
顧客が製品やサービスの購入に至るまでのプロセスを可視化することで、顧客接点を把握し、最適なマーケティング施策を検討することができます。 顧客がどのような経路で情報収集を行い、どのような意思決定プロセスを経て購買に至るのかを分析することで、効果的なマーケティング施策を立案することが可能になるのです。
SWOT分析
自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析することで、自社の置かれている状況を客観的に把握し、効果的な戦略を立案することができます。
4P分析
製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素を分析することで、マーケティング戦略の全体像を把握することができます。
3C分析
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析することで、市場における自社の立ち位置を把握することができます。
これらのツールやフレームワークを組み合わせることで、より精度の高いSTP分析を行い、効果的なマーケティング戦略を策定することができます。
7.まとめ ~STP分析でBtoBマーケティングを成功へ~
STP分析は、BtoB企業にとって、マーケティング戦略を成功に導くための重要なフレームワークです。市場を細分化し、ターゲット顧客を明確化し、自社の立ち位置を定めることで、限られた経営資源を効率的に活用し、最大の効果を得ることができます。
今後も、BtoB企業のマーケティング担当者には、STP分析の重要性を理解し、積極的に活用していくことが求められるでしょう。
BtoB市場での引き合い獲得には『イプロス』がおすすめです
『イプロス』は、キーエンスグループとして20年以上の運営実績がある、国内最大級のBtoB向け引き合い獲得サイトです。 業界・業種の枠を超えて製品・サービス・技術をPRでき、"手間なく""継続的に"新規顧客のリードを獲得することができます。
また、 閲覧会員数(180万人)、出展企業数(6.3万社)ともに7年連続NO.1 という規模(24年5月末時点 東京商工リサーチ調べ)を誇り、10~20万通のメルマガを配信できる広告プランも展開。多くの見込み客に情報発信を行うことが可能です。
イプロスの機能を無料でお試しいただける「無料トライアル」も実施中。 ご興味をお持ちいただけましたら、是非下記ページよりお申込みください。※『イプロス』や「無料トライアル」の概要を解説した資料もダウンロードしていただけます。