前回は、信号の入出力を紹介しました。今回は、PLC で扱うデバイスと命令について解説します。デバイスは、幅広い意味を持ちます。ただし本稿では、PLC のラダー図で使われる専用の内部リレーや、タイマーコイルなど、PLC 内部で用いられるデバイスに限定して使用します。信号の入出力はPLC 外部のイメージであるのに対し、デバイスや命令はPLC 内部のイメージです。
第5回「PLCで扱われるデバイスと命令」を解説していきます。
1. ビットデバイス
デバイスは、ビットデバイスとワードデバイスに大別されます。ビットデバイスは、内部リレーや入力接点、出力コイルなど、ON、またはOFFしかできないデバイスです。実際のラダー図で確認してみましょう(図1)。
このラダー図で使われているデバイスは、全てビットデバイスです。X0の接点は、ON かOFFしかできません。同じように、内部リレーM0 も、ON かOFF しかできず、M0 が半分だけON にしているというような、中間の状態はありません。このように、ON かOFF の2 パターンしかないデバイスが、ビットデバイスです。ビットデバイスでは、OFF の状態を数値の0、ON の状態を1 で表します。
入出力にはデジタルとアナログがあります。デジタルは、ON かOFF しかない入出力です。例えば、スイッチはデジタル入力です。また、デジタル入力はビットで表すことができます。
先ほど、ON とOFF の中間はないと述べました。しかし、アナログ入力には中間があります。車のアクセルペダルをイメージしてください。アクセルを踏めばON です。しかし、アクセルを踏み込む量によって加速が異なります。つまり、車のアクセルと速度の関係は、単純なON、またはOFF ではなく、踏み込み量が問題となります。これがアナログ入力です。PLC にも、アナログ値を取り込む機器を接続することで、アナログ信号を取り込むことが可能です。PLC からアナログ値を出力する機器もあります。
2. ワードデバイス
ON かOFF しかないビットデバイスに対して、ワードデバイスは数値を扱うことができます。例えば、PLC にはデータレジスタというデバイスがあり(PLC メーカーによって名称が異なることがあります)、数値を転送して使うことができます。以下は、データレジスタD0 に、数値10 を転送するためのプログラムです(図2)。
このデータレジスタD0 が、ワードデバイスです。複数のデータレジスタを使用でき、D1、D2 のように番号で識別します。機種によって多少の違いはあるものの、約10,000 点のデータレジスタを使うことができます。データレジスタに任意の数値を転送し、保存するだけでなく、別のデータレジスタに転送することもできます。このように、ON かOFF だけでなく、数値を扱う機能を持ったデバイスがワードデバイスです。
ワードデバイスは、ビットデバイスが複数集まって構成されています。
一般的に、1 つのデータレジスタは、16 個のビットで構成されています。そのため、16ビットデータとも呼ばれます。ビットはONかOFFしかなく、ON が1、 OFF が0 です。まず、16 個のビットを、4 個区切りで並べてみましょう。
0000 0000 0000 0000
これがデータレジスタの構造です。ビットの組み合わせにより、数値を表現できます。なお、ビットのように0 か1 しかない数値を、2 進数と呼びます。普段、私たちが使っているのは、10 進数です。10 進数は9までしかなく、その次は桁上がりして10 になります。これに対し、2 進数は1 までしかなく、1 の次は桁上がりして10 になります。
データレジスタは、16 個のビットを組み合わせることで、-32768 から32767 の数値を表現できます。データレジスタに数値を転送すると、内部のビットは以下のようになります。
1=0000 0000 0000 0001
2=0000 0000 0000 0010
3=0000 0000 0000 0011
4=0000 0000 0000 0100
・
・
・
33=0000 0000 0010 0001
このように、複数のビットを組み合わせて、ON、OFF 以外に数値を扱えるデバイスが、ワードデバイスです。コンピュータは、基本的に0 か1 の世界です。しかし、最深部までいくとビットの集まりとなり、ビットの組み合わせにより数値を表現します。また、数値の組み合わせにより文字を表現することも可能です。
3. 簡単な命令
全6回で下記の内容を解説しています。