リレー回路とラダー図|シーケンス制御の基礎知識3
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2024.11.22
基礎知識
リレー回路とラダー図|シーケンス制御の基礎知識3

前回は、リレーを使ったシーケンス制御を紹介しました。今回は、PLCのプログラム言語に使われているラダー図について解説します。ラダー図は、リレー回路を元に作られた、特殊なプログラム言語です。リレー回路では、接点やコイル間を電線で接続します。これに対しラダー図は、パソコン内でリレー回路を作成するもので、プログラムというよりも、図面に近いと考えられます。
第3回「リレー回路とラダー図」を解説していきます。
1. ラダー図の書き方
ラダー図は、リレー回路を理解していれば簡単に書くことができます。実際に、以下のリレー回路を使って、ラダー図を書いてみましょう(図1)。

このリレー回路をラダー図にする場合、接点とコイルの記号を単純なラダー図の記号に変更します(図2)。

また、電源部分を削除します。ただし、横の罫線(母線)は残します。そうすると、以下の図が出来上がります。これがラダー図です(図3)。

ラダー図は、リレー回路とは記号が異なります。しかし、かたちや動作は同じです。図1 のリレー回路の場合、3 つのリレー部分(CR1、CR2、CR3)をPLC に置き換えます。PLC には、スイッチやセンサなどの信号線を接続し、図3 のラダー図を書き込みます。
2. 接点とコイル
図1 のリレー回路と図3 のラダー図では、接点とコイルの記号が変わっています。リレー回路のCR は実物のリレーを指し、実際に3 個のリレーが存在します。回路が大きくなりリレーの数が増えると、物理的なスペースが必要となります。
図2 のM は内部リレーを意味します。PLC 内部にある仮想的なリレーです。M は三菱製のPLC に使われている記号で、機種にもよるものの、PLC内では内部リレーM が約10,000 点使用可能です。リレー回路のCRと同様に、内部リレーM にもコイルと接点があります。コイルは、基本的には1 つしか書くことができません。例えば、図3 に使用されているコイルは、M1 の1 つだけです。複数のコイルを使いたい場合は、M1、M2 のようにコイルの番号を変更します。これは実際のリレーでも同じで、図1 で使用されているCR1 は1 つだけです。1 つしかないものを複数準備して配線することは不可能なので、複数のリレーを使用したい場合は、CR2、CR3 のように別のリレー(種類や型式は同じ)を使います。
一方、ラダー図はプログラム上の回路図なので、複数のコイルを書くことができます。M1のコイルを複数書くことも可能です。ただし、この場合、ダブルコイルというエラーの原因となります。ダブルコイルはラダー図の動きを完全に把握していれば使えることもあるものの、基本的には使わない方がいいでしょう。
実際のリレーCR で使用できる接点の数は、リレーの物理的な接点数と同じです。一方、ラダー図で使われる内部リレーなどは、接点の数に制限はありません。
3. リレーとの違い
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 シーケンス制御とは?
- 第2回 リレーを使ったシーケンス制御
- 第3回 リレー回路とラダー図
- 第4回 信号の入出力
- 第5回 PLCで扱われるデバイスと命令
- 第6回 プログラム作成