職場の感染症対策の基本|職場の感染症対策の基礎知識3

職場の感染症対策の基礎知識
著者:ミネルヴァベリタス株式会社 顧問 信州大学 特任教授 本田 茂樹

前回は、新型コロナウイルス感染症流行の長期化に対する備えについて説明しました。今回は、職場での感染症対策について、その最も基本となる部分を解説します。早急に感染症対策を構築しなくてはいけないと理解していても、どこから手をつけてよいかわからず、そのままになっている企業も多いと考えられます。職場の感染症対策として、まずどこから始めるべきか、何を押さえておくべきかを考えます。

第3回「職場の感染症対策の基本」を解説していきます。

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1. 企業における必須ポイントを押さえる~職場クラスターを発生させない

企業における必須ポイントとして最も重要なことは、職場クラスターを発生させないことです。そのためには、まず社内体制を整備することが大切です。

・社内体制を整備する
職場の感染症対策が知らないうちにできていた、ということはありません。まだ、感染症対策に関する社内体制が構築されていなければ、今回の新型コロナウイルス感染症の流行を契機に整備しておきましょう。社内体制の整備に当たっては、経営者や他のメンバーの関与に留意しましょう。

経営者が自ら積極的に関与する:
感染症対策には、的確な経営判断が必要です。例えば、感染症対策としてマスクやアルコール製手指消毒剤などの備蓄に費用が発生すること、また、テレワーク制度の導入など、働き方そのものを変更することなどが考えられ、それぞれの局面で経営者の判断が求められます。経営者が自ら関与することで、さまざまな対策の速やかな決定と実施が可能となります。

多様なメンバーが参加する:
感染症の専門家である産業医などの産業保健スタッフ、また、従業員の働き方にも関係することから、社会保険労務士や顧問弁護士など、各方面の専門家の意見が聞ける体制にしておくとよいでしょう。さらに、社内の衛生委員会や従業員代表などのメンバーも加え、さまざまな意見を取り入れることも大切です(図1)。

社内体制を整えるため多様なメンバーが参加する
図1:社内体制を整えるため多様なメンバーが参加する

・職場クラスターを発生させない
新型コロナウイルス感染症の主な感染経路は、飛沫感染と接触感染とされています。これらの感染経路をできるだけ絶ち、職場でクラスターを発生させないよう以下の2 点において取り組むことが重要です。

出勤率を下げることを検討する:
職場に多くの従業員がいることで、いわゆる「3 密(密接・密集・密閉)」という状態が発生しかねません。それぞれの業務内容を把握し、可能な範囲でテレワーク制度を導入することで、出勤率を下げることを検討します。また、テレワーク制度を導入する場合は、就業規則などを必要に応じて変更するなど、労働関係法令に違反のないようにしましょう。職場への出勤が必要な業務を担当する従業員については、職場での飛沫感染・接触感染リスクを下げる工夫をします。

ソーシャルディスタンスを保つ:
従業員同士の距離を確保することが求められます。具体的には、アクリル板の設置など座席の工夫や、席の間隔そのものを広く空けることなどが考えられます。また、お客さまへの対応を行う場面では、窓口などにアクリル板や透明ビニールを配備することが必要です(図2)。

感染症対策のためアクリル板越しの対応
図2:感染症対策のためアクリル板越しの対応

2. 行動変容が全て~実践することが重要

感染症対策は、マスクの着用や手洗い・手指消毒など、そのどれをとっても難しいものではありません。感染症対策で重要なのは、それを理解することだけではなく、従業員全員が徹底して実践することです。実際に自らの行動を変えて、対策に取り組まなければ意味がありません。そこで企業側も、従業員が継続して感染症対策に取り組めるような環境整備を進めることが求められます。手洗い、アルコール消毒、換気、出社について企業側が整えるべき環境の実践について紹介します。

・社内での感染症対策に対しての実践

手洗い:
手洗いはある程度時間をかけて行う必要があるものの、寒い季節には冷たい水で手を洗うことが難しくなります。手洗い場では、冷水のみではなく、温水も使えるようにすることが大切です。

消毒:
アルコール製手指消毒剤は、職場の各所に配備し、必要なときにすぐ使えるようにします。

換気:
従業員の休憩室や更衣室など、これまで換気が十分でなかったと考えられる場所については、必要な換気が行えるような環境整備を検討します。

以上の3つは、会社に出社した従業員に対しての対応です。その他出社そのものに関しての認識を改め、実践することも大切です。

・体調が悪い時には出社しないという行動の徹底
これまで職場で、「忙しいときは、多少無理をしても出社する」ということが行われていたとすれば、今後はその意識を改めることが極めて重要です。発熱、全身倦怠感などのある人が職場に出てくると、それが職場全体に感染を広げることになりかねませんから、「体調が悪い場合は出社しない」という行動を徹底します。

3. 感染症対策は「足し算」で考えるべきか~必須ポイントを徹底する

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 感染症を正しく知る
  • 第2回 流行の長期化
  • 第3回 職場の感染症対策の基本
  • 第4回 ニューノーマル(新たな常態)に落とし穴はないか
  • 第5回 職場における具体的対策
  • 第6回 準備と備蓄は裏切らない

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