ペンチとニッパ|作業工具の基礎知識6

作業工具の基礎知識
著者:芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 准教授 澤 武一

前回は、モンキレンチとソケットレンチを紹介しました。最終回の今回は、把持・切断工具のペンチとニッパを解説します。ペンチは材料をつかむ、はさむ、曲げる、ねじる、引っ張るなど多様な用途で使用できる多機能工具です。ニッパは、材料を切断する際に使用する作業工具です。正しい使い方を学び、安全で効率的な作業を実現しましょう。

第6回「ペンチとニッパ」を解説していきます。

第6回もくじ

  1. ペンチ
  2. ニッパ

基礎知識DL

1. ペンチ

ペンチは、材料をつかむ、はさむ、曲げる、ねじる、引っ張るなど多様な用途で使用できる多機能工具です。ペンチは、てこを利用した作業工具なので、原理を理解して使用することで、力を入れなくてもさまざまな作業を行うことができます。

・ペンチの特徴
ペンチの先端はくわえ部といい、物をつかむときに使用します。くわえ部は物をつかみやすいようにギザギザの凹凸になっています(図 1)。ペンチの裏側にある丸いくぼみも物をつかむためにあり、このくぼみでナットをつかんで回すことができます。このくぼみはギンナンを割ることもできるため、ギンナンといわれることもあります。

ペ ン チ
図1:ペ ン チ(引 用:JIS B 4623 ペ ン チ、1998年、P.2)

・ペンチの使用時の注意点
ペンチの柄は親指、人差し指、中指の 3 本の指で握るように持ち、薬指と小指は柄の間に入れます。くわえ部を閉じるときは親指と人差し指、中指を、くわえ部を開くときは薬指と小指を使うことで、片手で開閉することができます。

物をつかむときのペンチの持ち方
図2:物をつかむときのペンチの持ち方

ペンチはてこの原理を応用した作業工具です。握る位置は力点、結合部が支点、切断する位置が作用点に相当します。そのため、握る位置は支点から遠いほど、作用点は支点から近いほど大きな力を生むことができます。つまり、刃部を使用して材料を切断するときは、柄部の端を持ち、刃部の根元で材料を切るように使います。

材料を切断するときは強い力を伝えるため、柄を 5 本の指で握手するように握り、一気に切断します。1 回で切断できないときは、鉄線を 回転(90°程度) させて、もう一度、一気に切断します。鉄線を 回転 させることで、刃が鉄線に食い込みやすくなり、切断することができます。それでもまだ切断できないときは、さらに 回転(90°程度) させて強く握ります。この作業を切断されるまで繰り返します。材料を切断できないとき、手首を回転させてはいけません。手首をひねって切断することをこじるといい、こじると刃の摩耗が極端に進みます。

材料を切断するときのペンチの持ち方
図3:材料を切断するときのペンチの持ち方

・ペンチで材料を曲げるときのポイント
ペンチを使って材料を曲げるときは、横よりも縦に使用することがポイントです。図 4 にペンチを使って材料を曲げる際の模式図を示します。図 4 の左の図では、鉄線をペンチの厚み方向に平行につかみ、手首をひねって鉄線を曲げています。この方法の鉄線を曲げる力(モーメント)は手首をひねる力 × 握り部の幅の半分になります。一方、図 4 の右の図では、鉄線をペンチの全長方向につかみ、手首を上下方向に動かして鉄線を曲げています。この方法の鉄線を曲げる力は、手首を上下方向に回す力 × ペンチ先端から握っている位置になります。つまり、ペンチを縦に使って曲げる方が力点までの距離が長く、鉄線を曲げる力が大きくなります。

材料を曲げるときのポイント
図4:材料を曲げるときのポイント

2. ニッパ

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 作業工具の種類
  • 第2回 ドライバの種類と正しい使い方
  • 第3回 カムアウト現象とトルクスレンチ
  • 第4回 スパナとめがねレンチ
  • 第5回 モンキレンチとソケットレンチ
  • 第6回 ペンチとニッパ

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