前回は、スパナとめがねレンチを紹介しました。今回は、モンキレンチとソケットレンチについて解説します。モンキレンチとソケットレンチは、さまざまな径のボルト・ナットに対応できる便利な工具です。しかし、使い方を間違えれば工具を破損させる可能性もあります。正しい使い方を学び、安全で効率的な作業を実現しましょう。
第5回「モンキレンチとソケットレンチ 」を解説していきます。
1. モンキレンチ
モンキレンチは、ボルトやナットの取り付け、取り外しに使用する作業工具です。
・モンキレンチの特徴と規格
モンキレンチの特徴は、ウォームとラックの組み合わせにより口の開きを調整できることです。ウォームとラックは歯車の一種で、両者を組み合わせることによって回転運動を直線運動に切り替えることができます。
モンキレンチは全体が鍛造で作られたものと、下あごのみ鍛造で作られ、下あご以外の部分は鋳造など鍛造以外の製法で作られたものの 2種類があります。鍛造は金属を金型にたたき、押し込んで形を作る加工法で、鋳造は溶けた金属を金型に流し込んで形を作る加工法です。両者とも金型の形が同じであれば同じ形になりますが、鍛造はたたくため金属の結晶が細かく内部欠陥が少ないため、強度が高くなります。
モンキレンチには、口の傾き角度が 15°と 23°(実際は 22.5°)の 2 種類があります。モンキレンチの名称の由来は諸説あり、口幅を調節できるレンチを発明した Charles Moncky(チャールズ・モンキ)がその一つです。
・モンキレンチの使用時の注意点
モンキレンチは、ボルトやナットを締めるときも緩めるときも、必ず下あご側に回して使用します。モンキレンチの下あごは可動するという構造上、上あごよりも強度が低く、上あご側に回すと下あごが広がる方向に力が作用するため、効率よく回転力を生み出すことができません。また、下あごは短いためボルトやナットから外れやすく、ボルトやナットの頭部を痛めるリスクが高まります。
モンキレンチは、無段階で口のサイズを調整でき、1 本で複数のサイズのボルトを回せるため便利です。しかし、ウォームギア機構を利用しているため、どうしても下あごが固定されずバックラッシュ(ガタ)が発生します。また、ボルトやナットを 2 点でしかつかめないため、大きな回転力(トルク)を伝えることができません。大きな回転力が必要な場合は、6 点でつかむことができるめがねレンチやソケットレンチレンチを使用します。
・モンキレンチの表裏を使う
モンキレンチは表裏を使用することにより、23°の場合、最大 90°回すことができます。ただし、裏側で使用するときは、上あご方向に回すことになり下あご側が支点になるため、大きな回転力で回すことはできません。
2. ソケットレンチ
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 作業工具の種類
- 第2回 ドライバの種類と正しい使い方
- 第3回 カムアウト現象とトルクスレンチ
- 第4回 スパナとめがねレンチ
- 第5回 モンキレンチとソケットレンチ
- 第6回 ペンチとニッパ