
前回は、木材の品質を左右する乾燥を取り上げました。今回は、製材品以外の木質材料である合板、LVL、集成材、CLT について解説します。これらの材料は、無垢(むく)の製材品では難しい大きさの部材の製造を可能にするほか、高い強度や寸法安定性によって、木材を利用した建築の可能性を大きく広げています。特に、最近登場した CLT は、木造の中高層ビル建設を可能にする材料として注目されています。各材料の特性を製造工程から解説するとともに、最新の動向を紹介します。
第6回「木質建材の種類と特徴」を解説していきます。
第6回もくじ
1. 合板
合板とは、丸太を大根のかつらむきのように薄くむいた板(単板、図 1)を、木の繊維が直交するように互い違いに重ねて貼り合わせたものです。合板の代名詞のように使われているベニヤは、1 枚 1 枚の単板のことを指します。

合板は、幅の広い面材を容易に得ることができます。繊維が直交しているために強度が高く、しかも均質で寸法も安定していることから、建築土木用材のほか、家具、楽器、船舶やスポーツ用品など、幅広く利用されています。建築材としては屋根の野地(のじ)板、壁や床の下地板によく使われ、特に壁や床では耐震性能を向上させる構造材料としても用途が拡大しています(図2)。コンクリートを打設する際の型枠も、合板の代表的な用途です。

合板の品質については、用途ごとに JAS 規格が定められています(表 1)。表の中で接着耐久性区分とあるのは、使用環境に応じた接着性能を規定したもので、性能が高いものから順に、特類、1 類、2 類と区分されます。特類は、屋外または常時、湿気にさらされる環境、1 類は断続的に湿気にさらされる環境、2 類は時々湿気にさらされる環境での使用を、それぞれ想定しています。

合板の原料には、かつては東南アジア産のラワン材が盛んに使われていました。しかし、資源の枯渇や熱帯林保護への配慮などから、最近は使用量が激減しており、その代替として針葉樹材への原料転換が進んでいます。特に最近 10 年ほどはスギ、カラマツ、ヒノキといった国産材の利用量が急増していて、現在は国内で製造される合板については、原料のほぼ 8 割を国産材が占めています。
2. LVL(単板積層材)
LVL(Laminated Veneer Lumber、単板積層材)とは、合板とよく似た材料で、丸太を薄くむいた単板を積層接着したものです。合板と異なるのは、接着時に単板の繊維方向が同じになるように積層することです。そのため、平行合板とも呼ばれます。単板を縦に継ぎ足すことによって、長いサイズの材料を製造できることも LVL の特徴の一つです(図 3)。

LVL には、造作用と構造用の 2 種類があり、JAS 規格(単板積層材の日本農林規格)でそれぞれの品質基準が定められています。造作用LVL は、家具の枠材や階段材、建具の芯材や枠材などに使われます。構造用 LVL は、木造建築の柱や梁(はり)などに使われます。大型木造建築の構造材料として、厚さが 1m 以上、長さが 10m 以上になる大きなサイズの LVL が使われることもあります。
3. 集成材
4. CLT(直交集成板)
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 木材の種類と用途
- 第2回 木材の特徴
- 第3回 木材の強度・耐熱性・耐久性
- 第4回 製材の方法と規格
- 第5回 木材の乾燥
- 第6回 木質建材の種類と特徴
- 第7回 木材の弱点を補う処理方法
- 第8回 木材の流通と環境問題