製材の方法と規格|木材の基礎知識4

木材の基礎知識
著者:林材ジャーナリスト 赤堀 楠雄

前回は木材の強度や断熱性、耐久性について解説しました。今回は、木材の最も基本的な利用形態である製材品を取り上げます。製材機械の種類、製材の方法、JAS 規格、副産物の利用方法などを見ていきましょう。

第4回「製材の方法と規格」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 製材機の種類

製材とは、丸太をノコギリで切り裂いたり(挽く)、斧で削ったり(はつる)して、角材や板材など用途に応じた形に整えることです。製材した木材を、製材品といいます。木造住宅や家具、建具、さまざまな木工品、工芸品などは、ほとんどの場合、製材品を原材料としています。その意味で、製材は木材利用の出発点といえます。

現代の製材は、ほとんどの場合、専用の製材機を使用して行われます。現在でも専門の職人が、大型ののこぎりを使って、手作業で丸太を製材することがあります。しかしそれは、その木材が非常に貴重で、高速の機械作業による摩擦熱で材面が変色するのを避けたい場合など、ごく限られたケースです。

図 1 は、代表的な製材機、帯鋸(おびのこ)1 枚を取り付けたシングルバンドソーです。この機械は、円形につないだ帯状の鋸 1 枚を高速回転させ、丸太を 1 面ずつ挽いていくものです。送材車という丸太を送る台が付いていることから、台車とも呼ばれます。鋸が 1 枚であるため、丸太の角度を自由に設定できるので、さまざまな形状の製材品を切り出せます。なお、図 1 で製材しているのは神社仏閣用の八角柱です。

シングルバンドソーによる製材作業
図1:シングルバンドソーによる製材作業

図 2 の製材機は、2 枚の帯鋸を左右に取り付けた、ツインバンドソーです。一度に丸太の左右 2 面を製材できるので、最初に丸太の両脇を挽き、それを 90 度反転させて丸みの残っている 2 面を挽くことにより、2 回の作業で角材を採ることができます。効率性を重視する工場では、多くの場合、この機械が導入されています。丸太の形状を計測して製材する位置を決定し、製材を行う一連のプロセスを、全て自動で行える機種も開発されています。

ツインバンドソ ーによる製材作業
図2:ツインバンドソ ーによる製材作業

製材機械には、ほかにも丸鋸(まるのこ)を取り付けたものや、台車やツインバンドソーで製材したものをさらに細かく製材する機械など、さまざまな種類があります。帯鋸と丸鋸の違いについては、帯鋸は径の大きい丸太にも対応可能、丸鋸は挽き肌がきれいで精度も高いといった特徴があります。

2. 製材木取りの手法

製材木取りとは、丸太のどこに鋸(のこ)を入れ、どんな製材品を採るのか、決定するプロセスのことです。基本的に四角い形の製材品を、円柱形の丸太から切り出すので、木取りの仕方によって丸太の利用率(歩留まり)が変わります。さらに、鋸を入れる方向や場所によって異なる木目が現れ、品質にも違いが生じます。

1:柾目と板目の違い
製材は、丸太から切り出した部分によって、木目、性質に違いが現れます(図 3)。

柾目と板目の切り出し部分
図3:柾目と板目の切り出し部分

柾目とは、年輪に対して直角に鋸を入れた場合に現れる、何本もの直線を定規で引いたような木目のことです(図 4 左)。一方、板目とは、年輪に対して平行に鋸を入れた場合に現れる、曲線状の木目が重なり合う木目のことです(図 4 右)。柾目材は径の大きな丸太からしか切り出せず、また採れる量も限られるため、板目材よりも高価で取引される傾向があります。また柾目材には、板目材より反りづらい、乾燥による割れや収縮が少ないなどの特徴があり、寸法安定性に優れるため、高い精度が求められる建具に多く使われます。一方、板目材は幅広の板が採りやすく、木材らしい木目にも根強い人気があります。

柾目(左)と 板目(右)
図4:柾目(左)と 板目(右)

2:木取りのパターン
木取りには、いくつかのパターンがあります。直径が 16 ~ 20cm 程度の比較的細い丸太の場合は、丸太の周りから半月状の板を 4 枚落とすことで、断面が正方形の角材を 1 本だけ採るシンプルな木取りが多くなります(図 5)。断面を見ると、丸太の芯を真ん中にして年輪が放射状に連なっています。こうした製材品を、芯持ち材といいます。現在、流通している柱や土台の多くは、こうした芯持ち材です。製材時には、製造効率が重視されるため、主にツインバンドソーが使われます。

芯持ち材の断面
図5:芯持ち材の断面

材木の直径がもっと太い場合は、1 本の丸太からいくつもの製材品を採るので、木取りも複雑になります。図 6 は、大径の丸太の木取り例です。こうした木取りには、丸太の投入角度を自由に変えられるシングルバンドソーが使われます。

大径材の木取り例
図6:大径材の木取り例

3. 製材品の規格と寸法

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全8回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 木材の種類と用途
  • 第2回 木材の特徴
  • 第3回 木材の強度・耐熱性・耐久性
  • 第4回 製材の方法と規格
  • 第5回 木材の乾燥
  • 第6回 木質建材の種類と特徴
  • 第7回 木材の弱点を補う処理方法
  • 第8回 木材の流通と環境問題

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから