前回は、無線通信の仕組みとその変遷、身近な通信方式を紹介しました。今回は、LANの仕組みとWi-Fiについて解説します。
第3回「LANの仕組み」を解説していきます。
1. イーサネットとは
LANは、イーサネット(Ethernet)によって構築されます。イーサネットは、アメリカの企業によって 1980年に開発された LAN規格で、1983年に標準化されました。接続形態には、基本的に1本の回線を複数の機器で共有するバス型が用いられます(第1回、図2参照)。
理論物理学の世界では、20世紀初頭まで、エーテル(Ether)という光を伝える媒体の存在が信じられていました。宇宙空間を電波などが伝搬するには、空間がエーテルで満たされている必要があると考えられていたのです。イーサネットの語源は、このエーテルだといわれています。
20世紀になり、アインシュタインが相対性理論を発見する一つのきっかけになった有名な実験(マイケルソン・モーリーの実験)により、エーテルの存在は疑問視されました。その後、相対性理論の完成によって、エーテルの存在は完全に否定されます。現代ではもちろん、電波の伝搬はエーテルなしでも説明できます。
2. LANとWAN
LAN(Local Area Network、構内通信網)は、工場や会社、学校など、同一建物の比較的狭いエリアに分散した多数のコンピュータや端末、補助記憶装置を、私設回線で接続して通信を行うネットワークタイプです。LANの接続形態(トポロジ:Topology)には、スター型、バス型、リング型があります(第1回、図2参照)。また、LANの種類には、有線 LANと無線 LANがあります。
WAN(Wide Area Network、広域通信網)は、LANとLANを結び、電話回線などを利用して広域で通信を行うネットワークタイプです。インターネットもWANの一つです(図1)。
LANとLAN を接続する装置には、ハブ、リピータ、スイッチングハブ、ルータ、ゲートウェイなど、さまざまな種類があります。
・ハブ(Hub)
ハブはLANの伝送路を延長する集線装置です(図2)。4~12個のポートを持つものが多く、スター型に接続します。ハブという言葉を聞いて、ハブ空港を思い浮かべた人もいるのではないでしょうか。海外の各所に発進するための中心となる空港です。例えば、韓国の仁川空港は、アジアでも指折りのハブ空港です。仁川空港へ乗り入れているフライトの就航都市は、全世界で60か国、214都市に上ります。参考までに、日本の成田国際空港は39か国、111都市です。仁川空港は、日本の約2倍の都市をつないでいることになります。このように、ハブという言葉には、通信や交通が集中する場所という意味があります。
・リピータ(Repeater)
リピータもLANの伝送路を延長するために用いられます(図3)。伝送路の途中でデータの信号を増幅・整形します。
・スイッチングハブ(Switching Hub)
スイッチングハブは、LAN同士を接続する装置です(図4)。宛先となるポートを判断して、データを転送する機能を持ちます。
・ルータ(Router)
ルータは、WANなどを介してLAN同士を接続する装置です(図5)。無駄な中継や通過を抑止し、宛先まで最適なデータ転送を行います。
・ゲートウェイ(Gateway)
ゲートウェイは、ネットワークのアーキテクチャの異なるLAN同士を接続して、通信を行う装置です(図6)。伝送媒体や伝送方式の違いを吸収して、異機種間の接続を可能とします。
以上の装置を使用してLAN 同士の接続を制御するものの他、アクセス制御の機能によって、接続を制御する方法もあります。イーサネットにおいてよく採用されているのは、CSMA/CDという方式です。
・CSMA/CD
CSMA/CD:Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionは、搬送波感知多重アクセス/ 衝突検出と訳されます。データを送信したいコンピュータが通信状況を監視して、通信路が空いていれば送信を開始し、他のコンピュータに送信を占有されていれば、データが衝突しないように待機してから送信を再開する方式です(図7)。
3. 無線LAN
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 通信ネットワーク
- 第2回 無線通信の仕組み
- 第3回 LANの仕組み
- 第4回 インターネットの仕組み
- 第5回 Wi-Fiの規格
- 第6回 Wi-Fiの接続と拡張