防水改修|防水工事の基礎知識6

防水工事の基礎知識
著者:東京工業大学 名誉教授 田中 享二

前回は、シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水を説明しました。最終回の今回は、防水改修について解説します。スクラップアンドビルドの時代は過ぎ去り、今は一度作った建物は、できるだけ長く使い続けるという時代になってきています。期間は建物の用途によって違いますが、日本では100 年が目標です。一方、防水層の寿命は10 ~ 20 年程度です。ということは、建物100 年の間には必ず改修が必要になります。防水改修が、どのように行われるかについて説明します。

第6回「防水改修」を解説していきます。

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1. 改修方法

改修方法には、従来のオーソドックスな工法と、かぶせ工法の2 つの方法があります(図1)。従来の工法とは、古くなった防水層を撤去して、新たに防水層を施工する工法です。元の下地コンクリートを露出させるので、ほとんど新築と同じ方法で次の防水層の施工が可能です。多くはこの考え方で改修がなされてきました。しかし、このやり方は、古い防水層を剥ぎ取る作業が必要となります。また、剥ぎ取った防水層は廃棄しなければなりません。建設廃材となるため、ルールに従って廃棄しなければならず、費用も要します。ただ、この古くなった防水層は、完全に劣化しているわけではなく幾分かの防水能力は保持されています。

防水の改修方法
図1:防水の改修方法

そこで考案されたのが、古くなった防水層の上を新しい防水層で覆うかぶせ工法です。建物解体の時には廃棄しなければなりませんが、途中廃棄がない分、環境負荷の低減と費用の節減にも貢献します。最近は、このかぶせ工法が多く使用されるようになってきています。

多くの改修工法用の防水層が、市場に出回っています。新築用の防水層との違いは、既存の古い防水層の影響をできるだけ受けないように工夫されているという点です。古い防水層は表面が劣化していて、防水層内部に過剰な水分を内包していることがあります。特に断熱防水層では、結露水が抜け切らずに断熱層内にとどまっています。また防水層の上に保護押さえとしてコンクリートを敷設する工法では、雨水がコンクリートと防水層との境目や目地部分、またはコンクリート内部に残っています。この内在する水分は、その上に新たにかぶせた防水層のふくれの原因になります。日中の日射や気温の上昇により水分が水蒸気となり、その圧力が防水層を下から押し上げるためです。そのため、改修工法では、それらを回避するような工法上の配慮が必要です。

2. かぶせ工法を採用する時の注意点

かぶせ工法は、下地となる古い防水層の状態により、さまざまな配慮が求められます。図2 は、比較的良好な状態が保たれている防水層の状態です。かなり年数を経ていますが、表面を掃除すれば上に新しい防水層をかぶせることができます。ただ、いつもこのような状態とは限りません。図3 は、ふくれ跡や表面の劣化が激しい防水層の状態です。劣化による変形があるため、次の防水層施工がしやすいように下地の調整作業が必要となります。

比較的良好な状態が保たれている改修前防水層の状態
図2:比較的良好な状態が保たれている改修前防水層の状態
ふくれ跡や表面の劣化が激しい改修前防水層の状態
図3:ふくれ跡や表面の劣化が激しい改修前防水層の状態

図4 は、下地勾配が不十分な防水層の状態です。屋上には水たまりがたくさんあります。これは屋根面全体の勾配が適切に取れていないことを意味します。この上に新しい防水層をかぶせるとさらに勾配がおかしくなり、もっとたくさんの水たまりができてしまいます。また、防水層の立ち上がりの高さが十分でない場合には、次の防水に必要な最低限の立ち上がり寸法を確保することが不可能です(図5)。かぶせ工法は、施工の前段階での準備作業を要することが多いのです。

下地勾配が不十分な改修前防水層の状態
図4:下地勾配が不十分な改修前防水層の状態
立ち上がり寸法が不足している改修前防水層の状態
図5:立ち上がり寸法が不足している改修前防水層の状態

3. 次世代防水層の考え方

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 防水層とは
  • 第2回 建築を取り巻く水と排水計画
  • 第3回 防水層に要求される性能と試験
  • 第4回 アスファルト防水と施工
  • 第5回 シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水
  • 第6回 防水改修

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