前回は、防水層に要求される性能と試験を説明しました。今回から具体的な防水材料と防水層の作り方について解説します。防水層は基本的に現場で作られます。工場のように安定した穏やかな環境ではないので、屋外の気象でも対応できるような材料と施工法が使用されています。
第4回「アスファルト防水と施工」を解説していきます。
1. 防水層の施工法
防水層とは、マンションなどのコンクリート屋根に、雨漏り防止のために施される設備です。施工法には、不定形材料による工法、定形材料による工法、不定形材料と定形材料を併用する工法があります(図1)。この3 つについて説明します。
・不定形材料による工法
不定形材料による工法とは、現場に不定形(液状)な防水材料を持ち込んで、これを下地に塗りつける、あるいは吹きつける工法です。材料は、化学反応や水分、溶剤の散逸により次第に硬化し、ゴム状の被膜となります。塗料をイメージするとよいでしょう。この方法の優れている点は、継ぎ目のない一体の防水被膜を作ることができることです。液状材料なので下地の形に自由に対応でき、複雑な形状の屋根や台、貫通パイプなどの障害物がある屋根には最適です。一方、防水被膜は現場作業により作られるため、厚さが不安定になりやすいという短所があります。現場での安定した膜厚管理が求められます。
・定形材料による工法
定形材料による工法とは、あらかじめ工場で作られた定形の防水材料を現場に持ち込み、下地に施工する方法です。シートの幅は1m 前後で長さが10 ~ 20m 位です。工法は、下地に接着剤を塗布し防水シートを張り付ける接着工法と、専用のファスナーを用いて防水シートを下地に固定する機械的固定工法の2 つがあります。この方法の良い点は、管理された工場で材料が作られるので防水層の厚さが均一であること、現場の作業はシートを取り付ける作業だけのため施工時間の大幅な短縮化が図れることです。ただ、工場で作ることのできるシートの大きさには限度があり、広い面積の施工にはシート同士を接合する必要があります。この接合部はジョイントと呼ばれ、防水上の弱点になりやすいので慎重な作業が求められます。
・不定形材料と定形材料を併用する工法
不定形材料と定形材料を併用する工法とは、前者2 工法を複合化したものです。まず不定形材料を施工して、その上に定形材料を施工します。これにより、2 工法の弱点を打ち消すことができ、水密安定性が非常に高まりますが、その分だけ手間と時間を要します。
2. 防水層の種類
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 防水層とは
- 第2回 建築を取り巻く水と排水計画
- 第3回 防水層に要求される性能と試験
- 第4回 アスファルト防水と施工
- 第5回 シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水
- 第6回 防水改修