前回は、防水層について解説しました。今回は、建築を取り巻く水と排水計画を説明します。防水というと、まず雨を思い浮かべます。しかし、雨以外にも沢山あります。地下にも、そして建物内にも水が存在します。水の影響を避けるためには、防水だけでなく排水も重要です。水槽以外は、水をため込まないのが原則で、漏水のリスクを抑えることが大切です。
第2回「建築を取り巻く水と排水計画」を解説していきます。
1. 建築を取り巻く水
建築物にはさまざまな水が存在します。ここでは、雨、地下水、生活水、結露水の4 つについて説明します。
1:雨
雨は、最も防水の対象となるものです。日本は、世界でも有数の多雨国です。図1 は、世界の年間降水量を表します。地球全体の年間平均降水量は900mm ほどで、日本では1,000 ~ 3,000mm(平均値は約1,800mm)もの雨が降ります。特に南紀から南九州、南西諸島にかけては3,000mm を超える地域があります。ちなみ日本の年降水量の最大記録は三重県尾鷲市の4,656mm です。世界的に見て多雨国に属していることが分かります。
2:地下水
地下水とは、山に降った雨が地下に染み込み、低い方に流れている水です(図2)。このうち自由地下水は、地表に最も近い不透水層の上に存在する地下水です。被圧地下水は、自由地下水より下にあり、2 つ以上の不透水層間の透水層中にたまっている地下水です。地上の河川と違って地下のれき層のように組織の粗い地層を通るので、非常にゆっくり流れます。1 日に数cm ~数100m 程度といわれています。そのため地下室を作ろうとして地面を掘ると地下水に当たります。特に海岸に近くなると、地下水の位置が地表面に近づくので、数m も掘ると必ず水が出てきます。
3:生活水
生活水とは、生活を営むために建物内に引き込まれた水のことです。その代表格は浴室やトイレで使う水です。また建物に食堂が作られることがあります。料理を作るための厨房の床は、衛生のために熱水で洗うことが義務付けられ、水を多く使用します。また建物内には、火災時消火のためのスプリンクラーが設置されており、火災の時にそれが作動すると大量の水が室内に降り注ぎます。その下の階にPC などの水を嫌う機器が置かれている場合は、その上階は防水が必要となります。
4:結露水
結露水とは、窓ガラス・壁など冷えた物体の表面に、空気中の水蒸気が凝縮した水滴です。結露水を漏水だと専門家でも時々間違えることがあります。空気は透明で何も見えませんが、実は小さな水滴が浮かんでいます。これが冷たいものに接触すると目に見える水になります。冬期間の北側の壁や梅雨時期の地下室の壁で発生することがあり、量が多いとあたかも漏水のように見えることがあります。漏水と間違えやすいので、参考に書いておきました。
2. 排水
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 防水層とは
- 第2回 建築を取り巻く水と排水計画
- 第3回 防水層に要求される性能と試験
- 第4回 アスファルト防水と施工
- 第5回 シート防水・ウレタン塗膜防水・ステンレス防水
- 第6回 防水改修