排水処理プロセスの選び方|水質汚染対策の基礎知識5

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2024.12.18

基礎知識

排水処理プロセスの選び方|水質汚染対策の基礎知識5

水質汚染対策の基礎知識

 
著者:株式会社プリディクション郷事務所 兼 化学工学会SCE・Net 郷 茂夫

前回は、水質法令と公共用水域の水質の現状を説明しました。今回は、排水処理プロセス選択の考え方を説明します。

第5回「排水処理プロセスの選び方」を解説していきます。

 

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1. 排水処理方法の分類と多段工程の必要性

排水、汚水は何らかの方法で汚濁成分を処理して、許容限度以下にしなければ、公共用水域に放出することはできません。その排水処理には、さまざまな方法があります。排水処理は、大きく分けて、物理化学的処理法と生物処理法があります。また、処理の程度に応じて、標準的処理と高度処理と呼ばれる区分があります。高度処理には、明確な定義はありませんが、標準的処理法だけでは、無害化が困難な有害物質を除く技術や高純度の処理水を得る技術を指します。また、同じ系統の技術でも、歴史的に見て高効率で発展型の新たな技術を指す場合もあります。

注意点は、排水処理を1 つの方法のみで行うのは、およそ不可能だということです。実際の排水処理は、今後述べる(連載第6回、7回、8回)さまざまな方法のうちから、適する処理法・工程を複数組み合わせて、構成します。典型例は、第1工程(前処理という場合もある)、第2工程、第3工程または高度処理工程、後処理工程という多段のステップを取ることになります。

2. 工場排水処理プロセスの選択の考え方

工場の排水処理を考えなければならない場面は、多くあり、最優先は、自分たちが出している排水の量、場内排水ルート、成分、濃度などを知ることです。工場で使用している原材料や薬品、化学反応でできる成分(副生物を含む)や量の情報を押さえ、さらに排水サンプルの分析も必要です。

また、汚濁成分がどのような姿をしているのかを認識しておく必要があります。それは目視や分析を含めて、汚濁成分が固体粒子や液体の粒子(油滴など)なのか、水に溶解している成分(ほぼ分子状態)なのかということ、有機物か無機物なのかということです。この違いの認識が、排水処理プロセスの選定で大切です。これらの排水の情報を元にして、さまざまな排水処理方法の選択の考え方を紹介していきます。

排水処理計画の手順
表1は、自社の排水情報を整理したことを前提に、処理計画の原則的な手順と考え方を示したものです。

排水処理計画の原則的手順
表1:排水処理計画の原則的手順

処理プロセスの選定
図1に、排水のサンプル試験結果と併せて行う処理プロセスの選定の道筋を示します。

処理プロセスの選定の道筋
図1:処理プロセスの選定の道筋

3. 水の再利用の考え方

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全9回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 水質汚濁物質の発生源と排水ルート
  • 第2回 水質汚濁指標と汚濁メカニズム
  • 第3回 有害物質の種類と健康への影響
  • 第4回 水質汚濁防止法とは?
  • 第5回 排水処理プロセスの選び方
  • 第6回 汚水処理技術の種類
  • 第7回 生物処理法の種類
  • 第8回 有害物質の処理技術
  • 第9回 工場の排水処理の事例

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