2000 年は循環型社会元年と呼ばれ、循環型社会形成推進基本法など、各種リサイクル法が制定されました。それ以来、資源の消費の抑制および環境負荷の低減を図る循環型社会の形成を目指し、3R(リデュース・リユース・リサイクル)をスローガンとして、さまざまな活動が推進されてきました。結果として、廃棄物の最終処分量は低減し、循環利用率は上昇してきて、廃棄物循環利用は改善しているものの、活動の中身には不適切なものも少なくありません。今回は循環型社会の進捗と目標を解説します。
第4回「循環型社会形成のための市民・企業・行政の取り組み」を解説していきます。
1. 循環型社会形成推進基本法とは
循環型社会形成推進基本法の制定の背景と目的
循環基本法制定の背景としては、廃棄物・リサイクル問題の解決のため、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会から脱却し、環境への負荷が少ない循環型社会を形成するための施策が必要だったからです。
目的は、環境基本法の基本理念に整合すること(循環基本法は環境基本法の下位法)、循環型社会に関わる基本原則を定めること、5 年位ごとに循環型社会形成推進基本計画の策定すること、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進することです。
循環基本法の基本的考え方
形成すべき循環型社会の定義とは、製品が廃棄物になることが抑制され、製品が循環資源となった場合は、適正に循環的な利用が行われることが促進されること。循環利用されない循環資源は適正な処分が確保され、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減する社会とされています。
この定義を言い換えると、「自然の循環」と「経済社会システム内の物質循環」の「2 つの循環の調和」という表現が適切でしょう。2 つの循環の調和とは、経済社会システムでの健全な物質循環を通じて、自然循環への悪影響を最小限とし、健全な自然循環を維持しようとする考え方です。そして「2 つの循環の調和」を図るには、経済社会システムでの廃棄段階に着目するだけでは不十分です。廃棄や再生段階の 3R と適正処分だけでなく、資源採掘から消費など、モノのさまざまな段階にわたって、環境負荷を低減するための取り組みにまで視野を広げる必要があります。
循環基本法の留意すべき条項
循環基本法の中で留意すべき条項をピックアップします。
・法の対象となる物を有価・無価を問わず廃棄物などと定義している。廃棄物のうち、有用なものを循環資源と位置付け、循環的な利用を促進する。
・処理の優先順位(5 位まで)を次のように法定化している。最初の 3つを 3R という。1 位:発生抑制(リデュース)、2 位:再使用(リユース)、3 位:再生利用(リサイクル)、4 位:熱回収(サーマルリサイクル)、5 位:適正処分
・国、地方公共団体、事業者および国民の役割分担を明確化していること。
・排出者責任:事業者や国民の排出者責任を徹底するための規制などの措置を広くを定めている。
・拡大生産者責任(EPR:Extended Producer Responsibility):生産者が、自ら生産する製品などについて、廃棄物となった後まで一定の責を負うという一般原則を明確にしている。
・政府による循環型社会形成推進基本計画の策定について定めており、現在実行されているのは、2013 年に決定された第三次循環基本計画である。
2. 循環型社会形成施策の現状と今後の目標
循環型社会形成の現状の認識
第三次循環基本計画では、リサイクルに比べ、リデュースやリユースの取り組みが遅れていると指摘されました。循環に関する具体的な施策は、主に廃棄物やリサイクル対策に注力されてきました。経済社会システムにおけるモノの廃棄や再生段階での取り組みにとどまっており、その他の段階(採掘・生産・流通・消費など)の環境負荷低減に関する施策は必ずしも十分ではありませんでした。リデュースやリユースが遅れた原因は、廃棄物の焼却など廃棄段階での環境負荷の低減を中心に、施策の取り組みが進められたことが一因と考えられています。
リサイクルについても、産業廃棄物に関する取り組みは比較的進んでいます。しかし、再生利用率(再生利用量 / 産業廃棄物または一般廃棄物の排出量)から見れば、優先順位が低い熱回収や適正処理と比べ、十分に進められていません。また、資源生産性(GDP/ 天然資源など投入量)は長期的には向上しているものの、同基本計画における 2020年度目標(46 万円 /トン)の達成は非常に困難な状況と見られています。
資源生産性を向上させるためには、天然資源などの投入量を削減する必要があります。そのため、モノが廃棄や処分される段階の取り組みだけでなく、その前のモノの生産や流通、消費などの段階で、資源の消費量を削減することが重要です。また、循環基本計画では、3 つの指標(資源生産性、循環利用率、最終処分量)と、その関連指標で定量的な評価を行っています。しかし、これらは資源生産性を除き、廃棄物などのリサイクルや最終処分量に着目されているため、モノのライフサイクル全体で、環境負荷低減への取り組みを捉えるには、十分な指標とはなっていません。
循環型社会の実現に向けた課題と今後の目標
循環型社会の実現には、「2 つの循環の調和」という原点に立ち返り、モノのライフサイクル全体(採掘・生産、流通、消費、蓄積、廃棄、再生)に改めて着目する必要があります。天然資源消費の抑制と環境負荷の低減を図るためには、再使用や再生利用が可能な資源を埋め立て材にしたり、燃やすのではなく、リデュースやリユースを推進したり、同じものに再生できるリサイクル(水平リサイクル)などの、質が高く効率的なリサイクルを進めていくことが必要です。環境政策の基本として、資源やエネルギー面での循環や効率化を通じた経済社会システムでの物質循環を進め、健全な自然循環を損なうことで起きる環境の悪化防止を目指していることが明確です。
3. 循環型社会形成推進基本法の関連法令や個別法令
4. 廃棄物の処理に関わるトピックス
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 廃棄物の発生とリサイクルの現状
- 第2回 廃棄物処理法とは?
- 第3回 廃棄物処理の注意点
- 第4回 循環型社会形成のための市民・企業・行政の取り組み
- 第5回 プラスチックのリサイクル
- 第6回 EUの廃棄物処理とリサイクルの取り組み