前回は、さまざまなトランスミッションについて紹介しました。今回は、最終回です。トランスミッションの未来はどうなるのだろうかという疑問を考察します。トランスミッションが現在抱えている課題や、今後どのような進歩を遂げていくべきなのかなど、なかなか難しいテーマです。
第6回「トランスミッションの未来」を解説していきます。
第6回もくじ
1. トランスミッションはなくなるか
パワートレインにおいて欠かせないコンポーネントであるトランスミッションは、エンジンの相棒として、これまで必ず存在していました。しかしながら、これまでの解説で分かるように、駆動力を電気モータのみで作り出す自動車─EV(電気自動車)、シリーズ HEV(シリーズハイブリッド自動車)、FCV(燃料電池車)などには不要、あるいはかなりの機能削減で足りてしまうことになります。従って、トランスミッションの未来は、パワートレインの将来がどうなるか次第であることはいうまでもありません。
電気モータの回転、トルク特性や、走行時における排ガスがゼロという性能は、実用車として申し分のないものがあり、航続距離がフィットするユーザーにはオススメのパワートレインといえます。では、すぐに普及が拡大するかというと、バッテリーコストがなかなか低下せず、車両価格がエンジン車に比べて高くなることがそれを阻害しています。なぜか EV のトレンドは大型 SUV にみられ、高価格傾向となっており、バッテリーを大容量化して航続距離を高めるという方向性は筆者の考えと相反するもので、EV の最適解は 200km 程度の航続距離と数百万円という価格帯の実現ではないかと思っています。いずれにしても、EV の普及については、バッテリー性能(エネルギー密度と価格の両立)が伴を握っています(図 1)。
一方、このような乗用車における動向と異なり、長距離輸送などを目的とするトラックやバスでは、まだまだエンジンがパワーユニットとして活躍すると考えています。最も、燃料がガソリンやディーゼルから合成燃料などに移行し、CO2 排出低減や NOx、PM などのエミッション低減を伴う形となれば、シリーズハイブリッド化も進むでしょう。それでも、その導入は FCV と同様にかなり先になると思われ、普及の可能性は乗用車よりも低くなります。とはいえ、個人的にはエンジン駆動は減っていくと考えるので、それに伴いトランスミッションの要求数も減少するでしょう。
2. トランスミッションのさらなる進化
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 トルクとパワー
- 第2回 動力源とパワートレイン
- 第3回 パワートレインとトランスミッション
- 第4回 トランスミッションの機能と種類
- 第5回 オートマ~さまざまなトランスミッション
- 第6回 トランスミッションの未来