断熱材の種類と断熱の工法|断熱の基礎知識4

断熱の基礎知識
著者:有限会社ADS計画研究所 代表取締役 堀 清孝

前回は住宅における断熱化の必要性をさまざまな観点から解説しました。第 4 回では、断熱材の種類と断熱の工法について具体例を交えながら説明していきます。

第4回「断熱材の種類と断熱の工法」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 断熱材の種類と素材

断熱材には繊維系断熱材、発泡プラスチック系断熱材、発泡系断熱材、木質繊維系断熱材、自然系断熱材などの種類があります(表 1)。

断熱材の種類と素材ごとの特徴
表1:断熱材の種類と素材ごとの特徴

1:断熱材の種類と特徴
繊維系断熱材にはグラスウールやロックウールがあります。ふわふわした布団のような材質のため、取り扱いや施工が容易で、建築用断熱材として最も広く使われています。しかし、水を吸うため、雨にぬらせません。また、湿気の侵入を防げないので、防湿層が不可欠です。

発泡プラスチック系断熱材は、板状のものと、現場で発泡剤を吹き付ける現場発泡系製品があります。水に強く湿気の侵入もある程度防ぎます。施工に若干の手間が必要で、価格も繊維系に比べて高いため、限定された用途で使われています。

木質繊維系断熱材は、木片を圧縮して作り、吸放湿性・吸音性に優れています。新聞紙を再利用したセルロースファイバーも木質繊維系断熱材に含まれます。自然系断熱材はウールや炭化コルクなど自然素材から作られ、調湿効果が期待できます。

2:断熱材の素材と特徴
素材によって、断熱材の特性はさまざまです。それぞれの特性を把握しておくことで、建物や現場に合わせて適切に素材選定ができるようになります。

・グラスウール
グラスウールとは、ガラス原料を溶かして繊維状にし、接着剤を吹き付けて一定の密度と厚みに成形した断熱材です。繊維の間に閉じ込められた空気が、熱を逃がさない役目をします。吸音性があり、ガラス繊維は燃えないので有毒ガスが出ません。また、圧縮性が高く、在庫や輸送に便利です。

・ロックウール
ロックウールとは、高炉スラグや玄武岩などを溶かして繊維状にし、一定の密度と厚みに成形した断熱材です。原材料が鉱石のため燃えず、有毒ガスも出ません。吸音性もあります。

・ビーズ法ポリスチレンフォーム
ビーズ法ポリスチレンフォームとは、ポリスチレン樹脂と発泡剤でできた原料ビーズを金型に入れ、発泡成形させた断熱材です。ビーズ法ポリスチレンフォームの一般材は熱に弱いため、70℃以上になる場所では使用できません。耐熱性能が高い製品では、100℃以上の熱に耐えるものもあります。紫外線にも弱いため、長時間の野積みは避けましょう。

・押出法ポリスチレンフォーム
押出法ポリスチレンフォームとは、ポリスチレン樹脂に発泡剤、難燃剤を加え、連続発泡させながら押し出して成形した断熱材です。

・硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームとは、ポリイソシアネートとポリオールという化学剤を原料として、発泡剤や難燃剤を加えて化学反応させた断熱材です。内部に無数の独立した気泡があり、高い断熱性を持ちます。硬質ウレタンフォームの一般材は、70℃以上になる場所では使用できません。製品によっては 100℃以上の耐熱性を持ちます。現場品(現場で発泡させたもの)は自己接着性を持つため、接着剤無しで外壁などに接着できます。

・ポリエチレンフォーム
ポリエチレンフォームとは、ポチエチレン樹脂を発泡剤で 5 倍から 40倍に発泡させた断熱材です。耐水性・耐薬品性・対候性(屋外使用の耐性)があり、耐熱温度はおよそ 80℃です。

・フェノールフォーム
フェノールフォームとは、フェノール樹脂を原材料として、発泡剤と硬化剤を加えて板状に成形した断熱材です。長期間安定した断熱性を持ち、炎を当てても炭化するだけで煙や有毒ガスが発生しないため、準防火材料の認定を受けています。

・インシュレーションボード
インシュレーションボードとは、木材を繊維状にほぐし、はっ水材料を加えて板状にした断熱材です。調湿性・防音性・通気性・耐水性を持ち、耐力壁面材(風や地震のような横からの力に強い資材)としても使われます。

・セルロースファイバー
セルロースファイバーとは、パルプ・古新聞紙などの木質繊維を繊維状にほぐし、薬品添加で防炎・はっ水性能を持たせた断熱材です。吸音性・調湿性・はっ水性・防錆(せい)性があります。

2. 断熱材を選ぶ際の注意点

断熱材を選ぶ際には、同じ製品名であっても性能差があることに注意が必要です。断熱材は種類が多く、性能の幅も広いため、熱伝導率によって A から E の 6 つに区分されています(表 2)。グラスウールであれば、住宅用グラスウールと高性能グラスウールでは性能が違います。セルロースファイバーだけは区分されておらず、性能値が 1 つだけです。それ以外の製品は全て、複数の異なる断熱性能を持っており、さまざまな製品が提供されています。

熱伝導率区分による断熱材
表2:熱伝導率区分による断熱材(一般財団法人建築環境・省エネルギー機構、住宅の省エネルギー基準の解説、2009 年、P.115 を基に著者作成)

なぜ同じグラスウールでも、断熱性能が異なるのでしょうか。それは、微細な空気の固まりによって断熱が起きるからです。グラスウールなどの繊維系では、繊維が束ねられた中に微細な空気層が閉じ込められて断熱効果を起こします。発泡プラスチック系の場合は、製造時に作られる気泡が熱を逃がしません。断熱材内部の極めて微細な空気の塊が、断熱材の断熱性能を決定しているのです。製造過程で生じる空気層や気泡の差によって、同じ製品でも断熱性能が違ってきます。

3. 内断熱工法と外断熱工法

4. 熱橋とは

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 なぜ、断熱が必要なのか
  • 第2回 断熱とは?遮熱とは?
  • 第3回 住宅における断熱
  • 第4回 断熱材の種類と断熱の工法
  • 第5回 断熱の基準値と断熱設計の基本
  • 第6回 断熱設計の手法
  • 第7回 断熱の盲点

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