前回は、微妙なニュアンスを与える助動詞と時制を取り上げました。第1回から継続して解説してきたのは、シンプルで分かりやすい技術英語を書くための基礎です。今回は、いよいよ最終回。英語らしく、論理的に文書を作成するスキルを身に付けましょう。
第6回「ロジカルに伝える」を解説していきます。
第6回もくじ
1. 日本語を整理する
和文を英文にするプロセスは、はじめから英文を意識したシンプルな日本語にすると、英語にしやすくなります。長くなりがちな和文は、1文で1つの意味になるように区切るとよいでしょう。慣れてきたら頭の中でもできるようになります。和文を英文にするための3つのステップ(図1)に沿って、英文にします。
例文:飛行機やヘリコプターは、災害時における複雑な空中作業に用いられているが、飛行機は被災地への救援物資の 輸送を行い 、ヘリコプターは 被災者の救援活動を 飛行機では着陸が困難な場所から 行っている 。
Step1:論理的で分かりやすい日本語を書く
・「が」には、逆接のほかに順接や比較の意味もあるため、論理関係をしっかり見極める必要があります。ここでは、飛行機とヘリコプターの比較です。
・「~を行う」は、多くの場合、動詞1語で表現する方が簡潔な英文になります。ここでは、「輸送を行い」を、「輸送する」とします。
・明確に書くためには、意味のまとまりを壊さないようにします。「被災者の救援活動を…行っている」と分けずに、「被災者を救援する」と近づけることで、英文にしやすくなります。
以上を踏まえて、和文をリライトします。
飛行機やヘリコプターは、災害時の複雑な空中作業に用いられて
いる
。
飛行機は、被災地へ救援物資を
輸送し
、ヘリコプターは、飛行機では着陸が困難な場所から
被災者を救援する
。
Step 2:1文で1つの意味の英語にする
リライトした和文を元に、英訳します。1文で1つの意味になるように、
輸送し
のところでいったん区切り、2つの英文にします。
Airplanes and helicopters are used for complex aerial operations in a disaster event. Airplanes transport relief goods to isolated areas.
Helicopters rescue victims from the areas where an airplane isd ifficult to land.
Step 3:必要な場合、関連する内容を1文にまとめる
飛行機とヘリコプターを比較させた表現にするため、while(一方)を使って2つ目と3つ目の文を1文にします。
Airplanes transport relief goods to isolated areas,
while
helicopters rescue victims from the areas where an airplane is difficult to land.明確な和文と1文で1つの意味を心掛けると、シンプルで分かりやすい英文を作ることができます。
2. パラグラフを意識する
英語の文書は、アイデアの最小単位であるパラグラフで構成されます。1つの主題を持つ各パラグラフが、意味的な関連性を持って、文書全体を構成していきます。
1つのパラグラフは、基本的に、冒頭のトピック文で主題を述べ、続く複数のサポート文で、主題を具体的に説明しながら展開していきます。トピック文は、パラグラフの内容がすっと頭に入るように書くことが理想です。読む人が、最少の労力で最大の効果を上げるためです。内容によっては、パラグラフの途中や、最後に結論として持ってくる場合もあります。最後に、パラグラフの要約や次のパラグラフへのつなぎの文で締めます。
前章Step2の最初の1文は、トピック文として、パラグラフの主題を述べています。
Airplanes and helicopters are used for complex aerial operations in a disaster event.
あらゆる文書は、全体像を示してから細部を掘り下げて書きます。e メールでも、詳細を後から項目立てすることで、意味を際立たせることができます。
報告書を完成させるため
、実験を行った回数と実験で使用した物質のデータが必要です。
I need the following data to complete the report
:
-the number of times you performed the test
-the substances used in the test
3. 文と文のフローを作るツール
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 技術英語・工業英語の3つのCとは
- 第2回 主語と動詞は文の要
- 第3回 冠詞の攻略
- 第4回 情報は名詞で伝える
- 第5回 微妙なニュアンスを伝える表現
- 第6回 ロジカルに伝える