前回は、名詞の種類(可算名詞・不可算名詞)や、冠詞、不定冠詞について説明しました。今回は、名詞で情報を伝える方法について解説します。英語は、1番目立つものを主語として、主語が主体的に目的語に影響を与えることを表す、SVO表現が最も多い言語です。SVOは、SもOも名詞です。あとはそれをVでつなぐだけ。それを心得たら、全ての文法事項がパズルのピースのようにつながります。
第4回「情報は名詞で伝える」を解説していきます。
第4回もくじ
1. 5文型と名詞
日本語には、英語の5文型のようなものは存在せず、書き手が自由に書くことができます。一方、5つの文型で語順が厳格に決まっている英語は、誰が読んでも同じ意味になります。図1を確認し、英語の基本文型を思い出してみましょう。
このうち、主語、目的語、補語として機能する赤字は全て名詞(代名詞)、青字は動詞です。伝えたい情報を名詞で表し、動詞でつなぐことで英語らしい表現になります。
熱絶縁を設置することで、燃料費は削減される。
直訳:Fuel cost saving can be achieved through the installation of thermal insulation.
SVO:
Installing thermal insulation
can
save
fuel costs
.
上文は12ワード、下文は7ワードと、同じ内容を簡潔に示すことができます。
黄色いボタンを押すと、コンピューターは起動します。
直訳:If you press the yellow button, the computer starts.
SVO:
Pressing the yellow button
starts
the
computer
.
このように、情報を伝える名詞と、その関係性を示す動詞で文を構成することで、簡潔で英語らしい文になります。英語が、ビジネス・技術分野で圧倒的存在である理由は、シンプルで客観的記述に向いているからともいえます。
2. 名詞の前と後に情報を加える
当然ながら、1つの名詞だけではいいたいことは伝わりません。伝えたい情報は、名詞を中心とした語句のまとまり、つまり名詞句にする必要があります。たった5つの文型でも、名詞句を適切に使用することで情報を漏れなく伝えることができるのです。
名詞を詳しく説明する修飾語句には、名詞の前に置くものと、後に置くものがあります(図2)。文書が複雑になればなるほど、名詞を修飾する語句が増えるため、名詞の前からも後ろからも修飾することが珍しくありません。いかに多くの情報を簡潔な名詞句にするか、これが腕の見せ所になります。
・名詞の前に置く修飾語
形容詞のほか、分詞、名詞などがあり、名詞の意味を限定します。
形容詞
計測が
正しく行われない
と、それ以降の工程に悪影響を与える。
A
wrong
measurement will adversely affect the following processes.
「計測が正しく行われないと」を「間違った計測」とすると、簡潔に因果関係を示すことができます。このように、名詞に形容詞を添えることで、名詞に条件や理由の意味を与えることができます。下記の例も同じです。
分詞
エンジンが
過熱すると
、いつかは故障する。
An
overheated
engine will eventually break down.
If an engine is overheated, it will eventually break down.をSVOで表現しています。
名詞
「ガス容器」はcontainer of gasよりgas container、「データの損失」はloss of dataよりdata lossなど、ofを取って名詞を名詞の前に置くことで、文が簡潔になります。このように、名詞+名詞から成る用語の例として、pressure rations:圧力比、waste disposal:廃棄物処理、oil development:石油開発、error appearance:エラーの出現、sample test procedure:サンプルテストの手順などがあります。
・名詞の後に置く修飾語
日本語は、名詞の前に修飾語句を長く置く傾向があります。英語では、読み手が既に知っている内容を挙げてから、知らない内容を新しい情報として提示する流れが最も自然です。関係代名詞、分詞、前置詞句などを用います。
関係代名詞
IoTは、デバイスや対象物をインターネットでつなげる技術です。
The internet of things is technology
that
connects devices and objects through the Internet.
分詞
パイプを流れる液体は低粘度油である。
The liquid
flowing
through the pipe is low-viscosity oil.
The liquid
which flows
またはThe liquid
which is flowing
を、分詞を使って短くしています。
画面に表示されるエラーメッセージを確認すること。
Check the error message
displayed
on the screen.
関係代名詞を使ったthat is displayedのthat is が省略されています。
前置詞句
流速を制御する新しい装置を設置した。
The new device
of controlling the flow rate
was installed.
以上のように、名詞の後に置く修飾語の作り方をマスターすることは、伝えたい内容を正確に記述するための必須スキルです。
3. 文の始まりは軽く、文末は重く
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 技術英語・工業英語の3つのCとは
- 第2回 主語と動詞は文の要
- 第3回 冠詞の攻略
- 第4回 情報は名詞で伝える
- 第5回 微妙なニュアンスを伝える表現
- 第6回 ロジカルに伝える