主語と動詞は文の要|技術英語・工業英語の基礎知識2

技術英語・工業英語の基礎知識

著者:公益社団法人日本工業英語協会 専任講師 福田 尚代

前回は、技術英語の3つのC、Clear(明確)、Concise(簡潔)、Corret(正確)を解説しました。今回は、主語と動詞について説明します。文の要は主語です。日本語は主語を省略することが多いですが、英語は主語を明示しなければなりません。このとき、何を主語にするかをしっかり見極めることが大切です。主語を決めることで、動詞を能動態にするか受動態にするかが決まります。主語と動詞は、文を決定する最も大事な要素です。

第2回「主語と動詞は文の要」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 主語を決める

技術英語で用いる主語は、大きく分けて3つあります。1つ目は人、2つ目は具体物、3つ目は抽象物です(図1)。何を主語にするかによって、文書のトーンが決まります。通常、最も伝えたいものを主語にします。それぞれ日本語と比較しながら、具体的に見ていきましょう。

技術英語の主語
図1:技術英語の主語

・人が主語の場合
人を主語にするとき、メールなど個人間のやりとりでは、自分を示すIや会社や部署などを示すweを使います。相手や相手の会社はyouで示します。

御社に、新製品のご説明に伺いたく存じます。
I would like to visit you and introduce the latest model.

弊社は、新しいロボットアームについて研究中です。
We are investigating a new robot arm.

・具体物が主語の場合
技術的な内容の場合は、具体物を主語にすることが大半です。

GPS は、地球上のどこにいても簡単に使用することができます。
GPS can be used easily anywhere on the earth.
GPSを使用するのは人ですが、主語をGPSにすると、和文は能動態でも、英文は必然的に受動態になるので注意が必要です。

モーターは、電気の力を機械の力に変える。
The motor transforms electric power into mechanical power.
動作の主体が物であり、通常の技術系文書に多い表現です。

・抽象物が主語の場合
英語は主語に対する意味の制限がほとんどなく、抽象物を含むさまざまな主語が、自由に主語の位置に収まります。

テストプログラムを変更すると、作業スケジュールに影響を及ぼすだろう。
Changing the test program will affect the work schedule.
人の行為を動名詞で示しています。If we change the test program, it will affect the work schedule. と書くこともできますが、Changing the test program(プログラムを変更すること)が直接の原因となって結果を示すと表現することにより、意味が強くなります。技術文書でよく用いられる無生物主語の構文です。

この報告書は、データ入力の新しい方法について述べたものです。
This report describes a new method of entering the data.
報告書など、人の知的産物を表す主語に、直接行為を表す動詞(describe 述べる、show 示す、indicate 示すなど)をつなげることも全く問題なく行われます。私たちの感覚では、In this report, I describe a new method of entering the data. あるいは、In this report, a new method of entering the data is described.と した方が自然ですが、例文のように言い切る方が簡潔で力強くなります。

2. 能動態・受動態のニュアンス

主語が決まれば、動詞を能動態にするか受動態にするかも必然的に決まります。英語は他動詞を用いたSVO(主語+動詞+目的語)の形式が原型なので、基本的にできるだけ能動態で書きます。能動態の方が動作の主体を明らかにすることができる上、より簡潔で明瞭な表現になるからです。ただし、目的語を強調する、客観的に記述する、自分や相手の非を控えめに表す、前の文とのつながりを考慮する場合は受動態にします(図2)。

受動態にする場合
図2:受動態にする場合

・目的語を強調する
その事故は、金属疲労が原因である。
The accident was caused by metal fatigue.
Metal fatigue caused the accident.と同じで、accidentを強調したいと考える場合、受動態にします。

・事実を客観的に記述する
テスト終了後、半導体はチャンバーに30分放置してください。
After the test, the semiconductors should be left in the chamber for 30 minutes.
仕様書や手順を示す場合など、人を示す必要がないときは、物を主語にすることで客観的に指示を伝えることができます。

・自分や相手の非を控えめに表す
報告書に3つのエラーがありました。
Three errors were found in the report.
I found three errors in your report.とすると、非難が伝わるため、受動態にすることでより客観的な表現にすることができます。

・前の文とのつながりを考慮する
弊社では、ロボット用画像認識装置を新規開発しました。ロボットアームに搭載したカメラで、画像認識装置を制御しています。
We have developed a new image recognition device for robots. The device is controlled by a camera mounted on the arm.
前文のdeviceになるべく近づけるため、あえて次の文を受動態にする場合もあります。文と文のつながりを作ることができます。

ここまで、主語に関連した動詞における態の選択について説明しました。主語を何にするか、能動態か受動態かをしっかり見極めることは、正確な英文を書くための第一歩です。

3. 自動詞・他動詞のポイント

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 技術英語・工業英語の3つのCとは
  • 第2回 主語と動詞は文の要
  • 第3回 冠詞の攻略
  • 第4回 情報は名詞で伝える
  • 第5回 微妙なニュアンスを伝える表現
  • 第6回 ロジカルに伝える

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから