チームビルディング(チーム作り)に大切なこと|チームマネジメントの基礎知識3

チームマネジメントの基礎知識

著者:九州大学 大学院 人間環境学研究院 教授 山口 裕幸

前回は、チームワークの科学と題し、チームワークの醸成プロセスや、優劣の測定方法を紹介しました。多くの職場では、チーム活動により職務が遂行されています。そのため、チームビルディングを効果的に行う方法に関心が集まっています。これまでさまざまなチームビルディングの方法が開発され、その効果が検討されてきました。方法によって詳細は異なるものの、効果的なチームビルディングを実現するための基本は共通しています。そこで今回は、チームビルディングにおいて大切な基本事項を紹介します。

第3回「チームビルディング(チーム作り)に大切なこと」を解説していきます。

基礎知識DL

1. チームにも発達段階がある

第2回で、チームワークが醸成されるプロセスについて解説しました。チームワークは、チーム活動を通して各メンバーが相互に協同・連携・支援する行動を経験しながら、メンバーで共有するチームの指向性やチーム・リーダーシップを醸成する循環を通して「学習」されるものでした。つまり、チームは形成されてすぐの状態から、チーム活動を通して次第に変化する、すなわち発達する存在であることを意味しています。

図1は、チームの発達段階を分かりやすく示したものです。形成してからまだ時間がたっていない段階は、人間に例えると幼年期に相当します。メンバー同士、お互いの役割や仕事の進め方がよく分からず、試行錯誤している状態です。しかし、チーム活動を継続していくと、その試行錯誤の状態から、自分たちなりのチーム活動のパターンやリズムを獲得していき、自信を持てるようになります。人間の青年期に相当する段階に発達するのです。この段階のチームは、若々しく成長の勢いに満ちている状態です。さらにチーム活動が成熟してくると、チームワークも熟練してきて、最も効率的にチームの成果をあげていくことができる状態になります。これは、壮年期に相当する段階です。

チームの発達段階
図1:チームの発達段階

しかし、チームは右肩上がりに成長するだけではありません。チーム活動が長期化すると、仕事の進め方がパターン化して円滑化する反面、決まった進め方にこだわって、新しい進め方に拒否反応を示すようになります。慣例や前例ばかりに固執して、縄張り意識も強くなる「硬直化」の現象が見られるようになります。これは老年期に相当する段階といえます。

どんなに効率的で生産的な活動を実現しているチームでも、そのまま活動を続けていくだけでは、いずれ硬直化の状態に陥ります。硬直化しないようにチーム活動を進めるには、チーム活動がうまく進んでいるとき(図1の壮年期にあるとき)から、新しい活動の進め方を工夫したり、やったことのない活動に挑戦したりする「チームの自己変革」に取り組むことが重要です。

いってみれば、チームも人間と同様に、年を取る存在です。形成されて一定の期間は成長し、生産性もチームワークも高まります。しかし、その上昇傾向は、いずれ終わりを迎えます。チームビルディングを考えるとき、チームの発達段階を見極め、青年期の後期から壮年期にあるチームならば、それまでの活動の進め方を振り返り、新しい進め方を検討・実施するよう注意を払うことが大切です。

既に老齢期を迎えてしまい、硬直化現象が見られるようであれば、チームを変革する取り組みが必要になってきます。この変革は、口では容易に言えても、実践するのは容易ではありません。自分が所属するチームは、どの発達段階に該当するのかに注目し、どんな取り組みが大切なのか検討してみることは、チーム作りの基盤となります。

2. メンバーのやる気を引き出すには

チームビルディングを考えるとき、メンバーがチーム活動に取り組むためのモチベーション(やる気)を発揮できるチーム環境作りは極めて重要です。ただし、単に各メンバーが個人的な目標に向かって頑張るというだけではなく、全員でチームの目標を達成するためのモチベーションを発揮できるよう導く工夫が大切になります。

では、人間のやる気は、どのようにして活性化するのでしょうか? 図2に、やる気の活性化メカニズムを示します。

モチベーション(やる気)の活性化メカニズム
図2:モチベーション(やる気)の活性化メカニズム

人は誰でも自分の心の中に「やる気の源」とでも表現できるものを持っています。心理学では、欲求や動因、動機と呼んでいるものです。掲げた目標をなんとか達成したいと思う「達成欲求」や、他の人と仲良く一緒にいたいと思う「親和欲求」などが代表的なものです。他にも、さまざまな種類のものがあり、これらはいつも個人の心の中に、一定程度の強さで存在しています。ただし、その強さは人によって異なります。達成欲求が強い人もいれば、親和欲求が強い人もいます。逆にそれらはさほど強くなくて、周囲の人から認められたいという欲求「承認欲求」が強い人もいます。人の心の中には多種多様な欲求、動機が存在していて、それぞれの強弱の程度は、個人の人格特性と深く結びついています。

人がある行動をとろうとするモチベーションの強さは、欲求や動因、動機の強さだけで決まるわけではありません。日々の生活を送る中で認知した情報が、目標や誘因として認知され、その人が持っている欲求や動因、動機を刺激します。そのとき、「よしやってやろう!」という気持ちが沸き立ち、行動に向けてモチベーションが活性化します。例えば、アメリカの大リーグで日本人プレーヤーが大活躍する様子を見て、自分もあのようになりたいと思い、野球の練習に一生懸命に取り組み始めるようなシチュエーションをイメージしてみてください。

ここで大事なのは、個人のやる気を刺激して行動を引き出そうとするならば、魅力を感じる目標を提示することです。したがって、メンバー全員をチーム目標の達成に向けた行動に駆り立てようとするならば、チームの達成すべき目標を魅力あるものとして明確に呈示することが重要になります。質の高いチームビルディングを行うには、目前の短期的な目標だけでなく、長期的な展望で目指す理想のチーム像やチーム理念などのミッションを明示し、メンバーで共有することが重要です。

3. チーム・コミュニケーション

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 チームとは何か
  • 第2回 チームワークの科学
  • 第3回 チームビルディング(チーム作り)に大切なこと
  • 第4回 チームが陥りやすい心理的罠
  • 第5回 チームマネジメントのターゲット
  • 第6回 チームマネジメントとリーダーシップ

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから