粉じん爆発とは|静電気対策の基礎知識5

静電気対策の基礎知識
著者:工学院大学 工学部 電気システム工学科 准教授 市川 紀充

粉じん爆発とは、ある一定の濃度の可燃性の粉じんが大気などの気体中に浮遊した状態で、火花などにより引火して爆発を起こす現象です。今回は、粉じん爆発の現象、発生要因、粉じん爆発の事故事例を解説します。

第5回「粉じん爆発とは」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 粉じん爆発現象

粉じん爆発の例としては、1878年に米国ミネソタ州ミネアポリスのワッシュバーン製粉所で、小麦粉による粉じん爆発が起きたことが知られています。日本では、1899年に豊国炭鉱で炭じん(石炭の粉じん)による爆発事故が発生し、その後炭坑内での対策が進むこととなりました。

このように、粉じんが舞っている状況で火が付くと、爆発することがあります。図1は、実験的に発生させた粉じん爆発の様子です。微粉砕された小麦粉を使い、粉じん雲を発生させています。粉じん雲の最小着火エネルギーを超えた静電気放電により着火します。火柱が粉じん雲中を伝わって素早く広がり、激しい輻射熱が発生し、火柱と高温ガスが上昇しています。この火柱や高温ガスにより、次の被害が起きることもあります。

粉じん爆発の実験
図1:粉じん爆発の実験(引用:Zwergelstern、Wikipedia)

2. 粉じん爆発の発生要因

粉じん爆発は、粉じんの雲、着火源、酸素の3つがそろうと発生します(図2)。空気中に酸素は豊富にあるので、粉じんの雲と着火源について、説明します。

粉じん爆発の3要因
図2:粉じん爆発の3要因

・粉じんの雲
粉には、小麦粉や炭じんだけでなく、金属粉なども含まれます。粉じんの粒子の大きさが小さくなればなるほど、大気中に浮遊する時間が長くなります。また、粉じん雲の濃度がポイントで、低すぎても高すぎても発生しません。粉じん雲が着火する最小の粉じん濃度を爆発下限界、粉じん雲が着火する最大の粉じん濃度を爆発上限界といいます。この間の範囲を燃焼範囲と呼び、その差が大きくなるにつれて、着火しやすくなります。

・着火源
粉じんを着火し爆発させるのは、主に静電気が元で起こる火花放電です。静電気は人や物が動くと発生し、完全に防止するのは困難です。帯電した人体や物から、火花放電が起きることがあります。

絶縁物の細かい粉じんは、人体が近づいても静電気放電が発生しにくいです。しかし、容器に移し替える作業のとき、粉じんの摩擦が原因で帯電します。細かい粉じんが大気中に浮遊していると、静電気放電が発生したときに爆発を引き起こします。

また、自動車のホイールなどに使われるマグネシウムは、水素を発生させることがあります。マグネシウム金属を研磨機を使って研磨したとき、細かい金属粉が多く発生します。水素は燃えやすい気体のため、金属粉が舞っている状況で、人体から静電気が発生すると爆発する可能性があります。

3. 粉じん爆発の事故事例

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 静電気とは
  • 第2回 静電気事故の原因
  • 第3回 静電気対策の種類
  • 第4回 電気・電子機器の誤動作や故障
  • 第5回 粉じん爆発とは
  • 第6回 粉じん爆発対策

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから