前回は、板ばねの種類と加工法を学びました。今回は、ばねのトラブルを取り上げます。ばねのトラブルには、どのようなものがあるでしょうか? また、ばね形状によるトラブルについて、原因・対策を掘り下げます。
第3回「ばねトラブルのランキング」を解説していきます。
1. ばねトラブルのランキング
ばねの中でも使用頻度が高いのは、コイルばねと板ばねです。これらのばねで、発生件数の多いトラブルを検証します。図1は、当事務所のクライアント企業の協力を得て調べた、コイルばねと板ばねのトラブル件数ランキングです。ランキング上位のへたり、変形、折損は、企業規模や業種にかかわらず、多くの製造業者で共通の設計課題でしょう。
ところで、ばねのへたりとは何でしょうか? へたりとは、ばねに応力が加わることで生じる永久変形のことです。漢字では経たりと書き、許容応力以上の応力や繰り返し応力などで生じます。身近な掃除機を例に、説明します。日本の掃除機の電源コードは、ボタンを押せば本体内部に巻き戻るタイプが主流です。便利な反面、使い続けるとコードが10~20cmほど、本体に収納されずに残るようになりませんか? 実はこの原因が、巻き戻し用のばねのへたりなのです。
2. ばねトラブルの原因
ねじやばねのトラブルは、機械設計の基本である機械要素のトラブルです。機械要素がトラブルを起こせば、その上位にある部品や小組体や最終製品にも影響を及ぼします。ばねのトラブルを軽視せず、しっかりと時間を割いて分析・対応することが肝要です。図1のばねトラブルの原因を分析し、表1にまとめました。
当事務所が調べたところ、ばねトラブルが起こる原因の割合は、形状の不具合が36.3%、材料選択のミスが31.6%、計算不足が30.7%、電気知識の不足が1.4%でした。今回は、トラブルの原因となる割合が一番高い、形状の不具合を中心に解説します。
3. 形状不具合によるコイルばねのトラブル
4. 形状不具合による板ばねのトラブル
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ばねの種類と特徴
- 第2回 板ばねの種類と加工方法
- 第3回 ばねトラブルのランキング
- 第4回 ばねの材料と特性
- 第5回 ばねの導通不良と対策
- 第6回 板ばねを用いた低コストな固定テクニック