一般的に防音対策と呼ばれるものには、吸音、遮音、防振の3 つの方法があります。前回は、その中から遮音を解説しました。今回は、防振の仕組みと防振材料について掘り下げます。
第4回「防振の仕組みと防振材料」を解説していきます。
第4回もくじ
1. 防振の仕組み
防振とは、振動する機械や空調機などの振動体から、建物へ伝達する振動(固体伝搬音)をできるだけ小さく制御することです。空気音の騒音の場合、壁などの遮音体を通過するたびに減衰するので、隣接していない部屋に大きな騒音が届くことはありません。一方、固体伝搬音は壁や床・天井などの構造物(固体)を振動させて音を発生させるので、大きく減衰することなく、離れた部屋まで騒音が伝わることがあり、注意が必要です。
固体伝搬音を抑えるためには、構造体の固有振動数(単位時間に振れる回数)を考える必要があります。固有振動数とは、ある物体が強く反応して激しく揺れる振動数のことで、どのような物体にも、固有振動数があります。一方、物体は固有振動数から大きく外れた振動数で揺すられても、ほとんど反応せず、大きく揺れることはありません。そこで物体を防振材で支持した時に形成される、振動系(防振系)の固有振動数を、対象となる騒音の振動から大きく離すことにより、振動の伝達を小さくすることができます。 防振系の固有振動数f0 は、防振材の動的ばね定数をk、振動系の質量をmとした場合、下式で表されます。
この固有振動数と振動の伝達の割合(振動伝達率)の関係を表したものが、図1です。固有振動数を1とした時、その√2 倍の周波数が伝わってきた時に実際のレベルと同じ振動が伝わります。それ以上の周波数の振動では、有効な防振効果が得られます。
なお、人間の耳の可聴範囲は20 ~ 20,000Hz 程度です。音に関する問題は50Hz 程度の低音域からが対象となりやすく、また対象となる周波数と固有振動数の差が4 倍以上になると振動伝達率が10% 以下になることから、一般的には固有振動数の目標値を15Hz 以下とすることが多いです。ホールやスタジオなど、高い遮音性能が要求される時には、10Hz 以下に設定されることもあります。
2. 防振材料の種類と特徴
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 音とは?防音とは?
- 第2回 吸音の仕組みと吸音材料
- 第3回 遮音の仕組みと遮音材料
- 第4回 防振の仕組みと防振材料
- 第5回 騒音・振動の防止設計
- 第6回 室内音場とは
- 第7回 音響測定の方法