前回は、音が聞こえる仕組みや、音の性質を決める3 要素などを解説しました。今回は、防音の要素の一つである吸音の仕組みと、さまざまな吸音材料の特性を紹介します。
第2回「吸音の仕組みと吸音材料」を解説していきます。
第2回もくじ
1. 吸音とは
吸音とは、吸音材が音を吸収して、音の反響を小さくすることです。吸音対策とは、その部屋内で発生した音の反射を小さくするために、天井や壁に吸音材を設置し、室内の響きの低減・反射の抑制・室内騒音レベルを低減させることです。どのような場合に、吸音対策が必要となるのでしょうか?
吸音対策は、主にホールや音楽スタジオ、映画館や試写室、音楽室、練習室など、音を楽しむことに特化した場所に、音の不必要な反響を抑えるために施されます。なお、部屋の外に音が漏れないようにする遮音効果はありません。遮音や防振対策と違い、一般的な住宅には基本的に必要ありません。しかしピアノ室やオーディオルームなど、音が重要視される部屋がある場合には、響き(残響時間)を調整するために必要になります。
意外な場所としては、空調設備などが設置されている機械室に施工する場合があります。機械室では、室内で発生する機械音が床・壁・天井で反射を繰り返し、エネルギーが増大してしまうことがあります。そうなると当然、外へ漏れる騒音・固体伝搬音も、大きくなります。吸音対策を施すことで、こうしたエネルギーの増幅を防ぐ効果が期待できます。
2. 吸音の仕組み
吸音対策は、吸音材料に音が入射した時に、その音の反射の度合いが相対的に小さくなるようにすることです。具体的には、吸音材料内において音のエネルギーを熱エネルギー(摩擦熱)に変えて吸収したり、背面に逃しています(図1)。
音のエネルギーEi が材料に入射したとき、その一部は反射されるエネルギーEr となります。また、その一部は内部で熱となって吸収されるエネルギーEa となり、残りが背面に抜けていくエネルギーEt となります。このとき、入射エネルギーEi に対して、反射されなかったエネルギー(Ei-Er)の割合を吸音率αといいます。吸音率は、α= Ei-Er/Ei で表すことができます。
吸音率は、吸音の程度を0~1の数値で表したものです。吸音率1とは、音の反射が一切ない(音が全部吸収されている)ことを意味します。吸音材料のカタログには、吸音率が必ず記載されています。この値を見れば、その材料でどれくらい吸音できるのかが分かります。
3. 吸音材料の種類と特徴
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 音とは?防音とは?
- 第2回 吸音の仕組みと吸音材料
- 第3回 遮音の仕組みと遮音材料
- 第4回 防振の仕組みと防振材料
- 第5回 騒音・振動の防止設計
- 第6回 室内音場とは
- 第7回 音響測定の方法