焼結体の評価|焼結の基礎知識7

焼結の基礎知識
著者:長岡技術科学大学 大学院 機械創造工学専攻 教授 南口 誠

前回は、焼結方法の分類を説明しました。最終回の今回は、焼結体の評価を解説します。密度や気孔率についてはアルキメデス法を、粒径測定については顕微鏡観察を、気孔径測定については水銀圧入法などを紹介していきます。組織観察では、各種顕微鏡で撮影した試料の組織写真を比較しました。試料作りや測定のコツなどに役立てましょう。

第7回「焼結体の評価」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 密度と気孔率

焼結体の密度と気孔率は、強度や熱伝導性、仕上がりの品質に大きく作用します。気孔には、外気と接続している開気孔と、物体内部に孤立している閉気孔があります。焼結体の密度を測ることは、焼結体の品質管理やプロセス管理にとって非常に重要です。焼結体が単純な形状であれば、寸法と重量から密度を求めることができます。しかし、焼結体の形状が複雑になると、その方法では評価が難しくなります。そのため、液体置換法やアルキメデス法と呼ばれる方法がよく利用されます。アルキメデス法とは、流体の中で静止している物体は、その物体が押しのけた流体の重さだけ軽くなる、つまり、浮力を受けるという原理を利用して、液体の中での質量を計測して求める方法です。物質による密度の違いを説明する際によく用いられます。図1は、アルキメデス法の模式図です。

アルキメデス法の模式図
図1:アルキメデス法の模式図

一般的に、この方法で純水やエチルアルコール、トルエンなどを利用して焼結体の密度を測定します。重量は、乾燥重量W1、液体を含んだ重量である湿潤重量W2、液中重量W3 で表します。かさ密度ρは、ρ=W1ρ1/W2-W3となり、開気孔率Po は、Po=W2-W1/ W2-W3と測定できます。焼結の進行を検討するには、相対密度dが利用されます。相対密度dは、d=ρ/ρw です。材料の理論密度が分かれば、相対密度d が分かるわけです。そして、相対密度と開気孔率から、閉気孔率が求められます。つまり、Pc をPc=1-d-Po となります。

この方法は、気孔内に液体を浸入させるため、やや時間を要します。水を使う場合は、煮沸したり、真空引きしたりして気孔内の空気を取り除く必要があります。この方法は試料の乾燥にも時間がかかるため、ヘリウムなどを使って乾式でアルキメデス法を適用する測定装置が用いられます。

2. 気孔や粒径の大きさ

焼結における気孔や粒径の大きさはさまざまです。気孔の量をアルキメデス法で測定することができます。しかし、その大きさは分かりません。焼結体の開気孔の大きさは、水銀圧入法と呼ばれる方法で測定できます(図2)。気孔径D は、水銀のぬれやすさを表す接触角θ、圧力p、水銀の表面張力γでD=-2γcosθ/p が求められます。水銀は、物質をぬらさず、接触角が大きい液体です。そのため、開気孔であっても水銀をしみ込ませるためには高い圧力が必要です。水銀に加える圧力と気孔の大きさは一定の関係があります。水銀に加える圧力を大きくすると、気孔に水銀がくみこむので、気孔の大きさに関する分布を求めることができます。

水銀圧入法のメカニズム
図2:水銀圧入法のメカニズム

ただし、粒径が細かいセラミックス粉末などを使った場合は、気孔の大きさも小さくなり、水銀の圧力を非常に大きくする必要があります。その場合は、窒素ガスなどの吸着を用いる方法(ガス吸着法)が利用されます。一般的に、粒界の測定は顕微鏡観察により行います。金属焼結体の場合は、断面を研磨して化学エッチングすることにより、粒界を可視化し粒径を測定します。セラミックスでも、同様に行うことができます。化学エッチングが難しい場合は、熱エッチングで行うこともあります。熱エッチングは、焼結温度よりも100℃ほど低い温度で行います。また、セラミックスやぜい性的な金属で、破断面を観察する方が簡単です。近年は、画像解析ソフトにより、顕微鏡で撮影した写真から平均粒径を求めることができます。また、閉気孔の大きさは顕微鏡による観察で分かります。

3. 組織観察

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全7回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 焼結とは
  • 第2回 焼結に用いる粉末
  • 第3回 成形工程
  • 第4回 焼結のメカニズム
  • 第5回 拡散のメカニズム
  • 第6回 焼結方法の分類
  • 第7回 焼結体の評価

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