前回は、焼結の特徴や用途を説明しました。今回は、焼結に用いる粉末について解説します。焼結で利用される金属材料の粉末は、溶解して噴霧する方法や化学的な方法で作られます。セラミックス粉末は、化学的な方法で作られます。一般的な焼結用粉末の粒子径は、金属では数十μm、セラミックスではサブミクロンから数μmとなります。用途に応じて、さらに粉砕されたり、複数の粉末を混合したりします。
第2回「焼結に用いる粉末」を解説していきます。
1. 焼結用粉末
焼結は、金属やセラミックスなど、複雑な形状に加工する機械部品に広く用いられています。焼結で使われる代表的な工業用材料は、金属、金属間化合物、セラミックス、複合材料などに分類されます(表1)。
焼結は、研究段階でサンプルを作る際にもよく利用されます。焼結で作るには、材料の粉末、あるいはその原料となる物質の粉末が必要です。焼結用粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で見ると、大きさも形状もさまざまです(図1)。
左下の2種類のAl2O3粉末は、粉末粒子の細かさや形状が異なります。もちろん、もっと大きい粒径のAl2O3粉末も存在します。金属粉末は、主として溶解して噴霧するアトマイズ法で作製されます。焼結用粉末は、金属では数十μmくらいの粒径のものが多く、セラミックスでは、サブミクロンから数μmのものが多いです。粉末は、必ずしも粒子径がそろっているわけではありません。粒径がそろっていない粉末は、大きな粒子の間に小さい粒子が入り込み、流動性が悪くなります。さらに、焼結の際に、小さい粒子が先に焼結して緻密化しなくなることがあります。そのため、粒径をそろえる分級が用いられます。粒径が比較的大きい粉末であれば、ふるいによる分級で行われ、ナノ粒子やサブミクロンレベルの粉末は、サイクロン分級や遠心分離法などの方法で行います。
また、細かい粉末も粒子同士の摩擦が増え、流動性が悪くなります。複雑な形状の金型に入れて成形する際に、粉末が隅々に行き渡らない恐れもあります。その場合、流動性が高くなるように粒径が大きい顆粒(かりゅう)状にします。水に粉末と成形用の有機物を加えて噴霧し、空中で乾燥すると大きな顆粒になります。このプロセスは造粒と呼ばれています。もともとAl2O3粒子は0.15μmと非常に細かく、顆粒体の粒径は数十μmと大きなものです(図2)。
2. 混合・粉砕
一般的な焼結工程は、混合・粉砕、成形、脱脂、焼結、機械加工・研磨、検査の6つです。最初の工程となる混合・粉砕について説明します。
・混合
混合は、2種以上の物質を混ぜ合わせる工程です。合金や複酸化物の粉末が入手できない場合は、原料となる粉末を混ぜて、焼結中に目的となる合金や複酸化物にし、材料を作ります。また、粉末の焼結性を改善する焼結助剤や物性制御のために加えられるドーパントなど、焼結の際2種類以上の粉末を混ぜ合わせることがあります。
・粉砕
粉砕は、大きい粉末粒子を細かくしたり、強く結合してしまった粉末粒子同士をほどいたりする工程です。粒子の塊ができることを凝集といい、その凝集でできた粒子の塊を凝集体といいます。均質で欠陥がない焼結体を作るために、凝集体を粉砕することが必要です。大きい粉末粒子を粉砕したり、凝集体を粉砕したりする場合は、金属やセラミックスでできた容器に、同じく金属やセラミックスでできたボールと粉末を、水などの溶媒と共に入れて回転させながら粉砕します。この手法は、ボールミルと呼ばれており、代表的な粉末の機械的粉砕法です。この他、粉末が入った容器に高速の遊星運動(太陽の周りを惑星が回るように、回転軸を中心として容器と粉末が回転)を与えて原子レベルの混合を行うメカニカルアロイングなどが、研究室レベルで利用されています。
3. 粉末粒子の凝集
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 焼結とは
- 第2回 焼結に用いる粉末
- 第3回 成形工程
- 第4回 焼結のメカニズム
- 第5回 拡散のメカニズム
- 第6回 焼結方法の分類
- 第7回 焼結体の評価