前回は、ねじの加工方法を取り上げました。今回は、ねじの材料選択と評価について解説します。ねじの種類と同様に、材料も用途や使用条件に合致した選択が求められます。材料選択の大切な指標である安全率も解説します。
第5回「ねじ材料の選択と評価」を解説していきます。
1. ねじ材料の評価項目
ねじの材料を選択するには、どのような物性値やパラメータを評価すればいいのでしょうか。材料の評価に不可欠なQCD の観点を踏まえ、評価項目を13 個にまとめました。
1:比重
2:縦弾性係数
3:横弾性係数
4:線膨張係数
5:ポアソン比
6:熱伝導率
7:比電気抵抗と%IACS(焼鈍標準軟銅の導電率を100%IACS としたときの導電率)
8:標準材料サイズ
9:引張強さ
10:降伏点・疲れ強さ・0.2% 耐力・ばね限界値
11:特徴・用途
12:コスト係数
13:入手性
これらの項目を熟知することで、技術者の目利き力が鍛えられ、限られた条件の中で最高の材料を選択できるようになります。切削用材料、板金材料、樹脂材料などは、使用頻度が高く、目利き力を鍛えておきたい材料です。例えば、強度を上げるには、縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点・疲れ強さ・0.2% 耐力・ばね限界値のいずれかの数値を上げる必要があります。強度の高いねじが必要であれば、弾性係数や引張強さの数値が高い材料を選べば良いと分かります。
ねじの材料としてよく用いられるのは、ステンレス系材料と鉄系材料です。これらの物性値は、第2 回にまとめているので、確認してみてください。ねじの材料選定では、強度評価は必須です。強度に影響する縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点を意識して数字を確認することで、実務に役立つ目利き力が鍛えられます。
2. 安全率の考え方
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 機械要素の学び方
- 第2回 ねじの種類と素材
- 第3回 ねじの加工方法
- 第4回 ねじトラブルの原因と対策
- 第5回 ねじ材料の選択と評価
- 第6回 ねじの接地対策と締付トルク・軸力