ねじの加工方法|ねじの基礎知識3

ねじの基礎知識
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

前回は、ねじの種類と素材について解説しました。3 回目となる今回は、ねじの加工方法を学びます。技術者がねじの特徴を把握し、使いこなすには、ねじがどのように作られているのかを、ある程度知っておく必要があります。

第3回「ねじの加工方法」を解説していきます。

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1. ねじの加工に用いられる金属加工の分類

図1 を見てみましょう。ねじの加工方法は、機械加工の中の金属加工に分類されます。そのうち、機械加工時に切粉(きりこ、切りくず)が発生しない塑性加工と、金属の切削を行う切削加工の2 つに大別できます。ねじの加工では、塑性加工の鍛造加工(ヘッダー加工)と転造加工、切削加工では旋盤加工を用います。

ねじ加工に使用される金属加工の種類
図1:ねじ加工に使用される金属加工の種類

ここで、ねじ加工の歴史を振り返ってみましょう。その昔、ねじやシャフトは、旋盤による切削加工が基本でした。19 世紀前半、大量生産の時代となり、低コスト化の要求と技術進歩により、切削加工を不要とする塑性加工で容易に製造できるようになりました。

塑性とは、ある物質に力を加えて変形させたとき、その力を解放しても、元の形状に戻らず半永久的に変形したままの状態を保つ、物質(本稿では、ねじ用の金属材料)の特性のことです。塑性加工は、物質の塑性を利用し、部材に型を押し付けて目的の形状に変形させる工法です。

2. 塑性加工によるねじの加工方法

ねじの塑性加工について、具体的な工程を見てみましょう。塑性加工の一つである鍛造加工は、熱間鍛造・温間鍛造・冷間鍛造の3 つに分類できます。冷間鍛造の代表例が、ヘッダー加工(冷間圧造加工)です。汎用のねじは、ヘッダー加工でねじの頭部と軸部分を作った後、転造加工でねじ山加工を施して完成します。開発現場や設計職人であれば、ヘッダー加工と転造加工の知識は、最低限押さえておきましょう。

・ヘッダー加工
ヘッダー加工とは、常温で材料に圧力をかけ、成型する加工のことです。ヘッダー加工で作られる代表的な部品が、図2 に示すスタッド(Stud)やシャフト(Shaft)と呼ばれる軸系部品です。

スタッド、シャフトと呼ばれる軸系部品
図2:スタッド、シャフトと呼ばれる軸系部品(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.39)

ヘッダー加工によって、ねじの頭部と軸部分ができるまでを、5 ステップで説明します。

1:原料である鉄鋼石(図3の左)から、ヘッダー加工用の鋼材(図3の右)を製造します。これは鉄鋼メーカー製造の規格材料です。図3 の右にあるように、巨大なロールに巻き取られたコイル形状が一般的ですが、直線の棒状のものもあります。

鉄鉱石から鋼材へ
図3:鉄鉱石から鋼材へ(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

2:ヘッダー加工の工場で、図3 右の鋼材を適切な長さに切断します(図4)。実際には、長い状態のままヘッダー加工機にセットする場合が多く、加工機の中で切断されます。

鋼材を切断
図4:鋼材を切断(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

3:切断した鋼材をダイス(金属の塑性加工に使用される型)に挿入します(図5)。

材料をダイスに挿入
図5:材料をダイスに挿入(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

4:ねじ頭を形成するため、ダイスに挿入した材料の頭部を、第1 パンチで円すい台形に絞ります(図6)。

1段打ち
図6:1段打ち(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

5:ねじ頭の形状を整えるとともに、+や-の溝を第2 パンチで形成します(図7)。

2段打ち
図7:2段打ち(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

・転造加工
転造加工とは、棒状の材料を回転させながら、ダイスと接触させて成型する塑性加工法です。ねじ加工では、ねじ山切りを行います。さまざまな転造加工機があり、大きくは平ダイス転造と丸ダイス転造の2 つに分類されます(図8)。

ねじの転造加工
図8:ねじの転造加工(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.43)

平ダイス転造では、対向する一対のダイスのうち一方(図8 ではスケルトン表示側)を固定し、他方を往復運動させることで塑性加工を行います。図8 の場合、ヘッダー加工後の部品は、右側から挿入されて左側へ排出される途中で、ねじ山が刻まれます。単純な加工システムで生産性に優れています。

丸ダイス転造は、対向する一対のダイスが円筒状になっています。ダイスの形状から、4 つの特徴があります。

・装置をコンパクトにできる
・部品の加工面を長くできる
・ねじ山の他、ローレット(山谷のある格子状の模様)加工にも応用可能
・生産性は、平ダイスよりも劣る

どちらも部品の標準化や共通化によって、低コストで安定供給が可能であり、職人の腕の見せどころです。逆にいえば、部品の標準化や共通化ができなければ、低コスト化に寄与できません。

3. 切削加工によるねじの加工方法

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 機械要素の学び方
  • 第2回 ねじの種類と素材
  • 第3回 ねじの加工方法
  • 第4回 ねじトラブルの原因と対策
  • 第5回 ねじ材料の選択と評価
  • 第6回 ねじの接地対策と締付トルク・軸力

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