ねじやばね、歯車やチェーンなどは機械要素と呼ばれ、さまざまな機械に組み込まれています。機械要素は、機械の動作や品質を左右します。本連載では、その中でも使用頻度の最も高いねじを6 回にわたって、続く次連載では、ばねを5 回にわたり取り上げます。要素部品を使った実装設計ができるよう、技術者に役立つ実践的な基礎知識を解説します。
第1回「機械要素の学び方」を解説していきます。
第1回もくじ
1. 機械要素とは
機械要素とは、機械を構成する部品のことです。ねじやばね、歯車(ギア)などが代表格で、その他にベルトやチェーンなども含まれます。料理で例えると、カレーやコロッケなどの完成した料理が機械で、材料となる野菜や肉、調味料、ソースなどが機械要素に当たるわけです。料理のおいしさが材料の選定や調理方法に左右されるように、機械のクオリティも機械要素の品質や扱い方に大きく影響されます。そのため、機械要素の選択と使用方法に注意を払うことが大切です。
2. 設計者・技術者が成長するためのコツ
機械要素について、学生の頃に学んだことがある方も多いのではないでしょうか。設計職人の筆者は、学生が学ぶ知識と現場の設計者・技術者が習得すべき知識には差異があると感じています。例えば、図1はねじのつる巻き線とリード角の説明図です。学生であれば細かい定義や計算式を覚え、試験問題を解けるように理論を勉強する必要があります。しかし、現場の設計者・技術者は、少なくとも単語とその意味を知っていれば業務には困りません。その代わり、全く違う種類の知識が必要となるのです。この全く違う知識とは、実務知識です。
では、現場の設計者・技術者は、ねじやばねなどの機械要素をどのように学べばよいのでしょうか。筆者は、以下の3 つの体験を通して初めて生きた知識が身に付くと考えています。
1:実務を通して、基礎知識を体得する
機械要素ごとの構造や種類、役割などの知識を、現場での実務を通して習得します。誤解されないように付け加えておくと、教科書や市販の専門書で自己研さんすることは、とても有益なことです。新人設計者だけでなく、現場の業務にマンネリを感じ始めた設計者にもお勧めです。しかし本で学んだ知識は、実習や実務を通じて使ってみることで理解が深まり、記憶に定着します。机の前だけではなく、現場で体と頭を使って学びを深めるプロセスが大切です。
2:実務を通して、失敗を経験する
実務では、予想外のトラブルや失敗が日々起こります。例えば、簡単な機器を使った実装設計でも、想定通りに機器が動かないことはあります。しかし、失敗とそれを乗り越える経験を何度も繰り返さないと、人は成長できません。失敗は、挑戦した証しでもあります。何度も挑戦し、何度も失敗しながら学びましょう。
3:実務を通して、感動を体験する
3 つのうち、特に大切な体験が感動です。機械要素を学ぶ上で最大の感動は、苦労して設計・計画し、組み立てた機械が思い通りに作動することでしょう。人を最も成長させるのが感動だということは、他のスキルの取得にも共通しています(表1)。こうした感動を得ながら、機械要素を学んでいきましょう。
3. ねじとばねを学ぶ必要性
機械要素には、ねじ、ばね、軸、軸受、ベルト、チェーン、カム、リンク機構など、多くの種類があります。実務でよく使われる機械要素は何でしょうか? それは、ねじとばねです。国内外の軽工業(家電やOA機器、精密機器など)の企業では、使用する機械要素の3 割以上がねじ、ばねなのです(図2)。
本連載ではねじの基礎知識、その後ばねの基礎知識を解説します。英会話も使用頻度の高い単語から優先的に学習するように、使用頻度の高いねじとばねについて学ぶことで、実際の現場ですぐに活用できる知識が身に付きます。
いかがでしたか? 今回は、設計者や技術者が現場で生かせる知識を学ぶためのコツを紹介しました。次回はねじの種類と、その選択方法を解説します。お楽しみに!
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 機械要素の学び方
- 第2回 ねじの種類と素材
- 第3回 ねじの加工方法
- 第4回 ねじトラブルの原因と対策
- 第5回 ねじ材料の選択と評価
- 第6回 ねじの接地対策と締付トルク・軸力