前回は、RPA導入のメリットとともに、どのような企業に向いているのか具体例を交えて解説しました。今回は、中小企業である筆者の会社が、実際にRPAを導入するまでのプロセスをご紹介します。具体的には、導入に至る背景や経験を元に比較検討した結果をまとめています。また、RPAの種類とそれぞれの特徴、また選定のポイントも併せて記載しています。
第3回「RPA導入事例」を解説していきます。
1. 導入のきっかけ
筆者自身、中小企業の経営者となり、あらゆることを自分でこなさなければならない立場に置かれました。営業も担当すれば、顧客フォローもします。あるいは、顧客への書類郵送のために、宛名書きからポストへの投函まで自分で行います。顧客名簿の作成から請求書の発行、入金チェックなどの経理業務も当然です。その他、日々の帳簿付けから役所へ届け出をするさまざまな書類作成、業者との交渉、新たなプロジェクトの準備など…。挙げていけばキリがありません。
業務が増えて多くの業務を兼務すればするほど、一つ一つの業務にかかわる時間が減り、どうしても各業務の精度が悪くなります。結果、ミスが増えるので、さらにチェックをするための時間が必要になり、ますます業務効率が悪くなります。そこで、人を募集してスタッフを雇いました。しかし、今まで私が一人で属人的に作業していた仕事を、スタッフに教えるのは簡単ではありません。それでも根気強く、時間を割いて業務をレクチャーしながら、実務を覚えてもらいました。ところが、そのスタッフは結局、家庭の事情で辞めてしまったのです。改めて、中小企業が抱える問題に私自身が直面しました。
そんな折、新会社で企業サポートを開始して間もない頃にウェブで見た、「企業の定型業務を自動化」という記事を思い出しました。定型業務の自動化。ルーティン業務を全て自動化することで、従業員一人一人の生産性も向上すると考えました。これを実現するツールこそRPAであり、私がその存在を知る最初のきっかけでした(図1)。
2. 展示会
筆者の会社の業務は、中小企業の相談を受け、改善方法を提案することが中心です。顧客には製造業が多いため、顧客管理や進捗管理などのシステムを紹介する機会が多くあります。最初にRPAを目にしたのは、そうした新しいシステムを紹介する展示会でした。さまざまなRPA関連企業がブースを出しており、顧客管理システムとRPAを連動させた活用法が紹介されていました。出展企業に他社での活用方法を質問すると、いくつかの大企業での事例を紹介してくれました。「数100人に及ぶ社員の経費精算を自動化した」「2万件の契約書を自動入力した」など、RPAが実際に業務効率化に役立っていることが分かりました。その反面、RPAは中小企業にとっても有用なのか、費用対効果は見合うのか…そういった気がかりが出てきたのです。
RPAは、デスクワークを自動化します。定期的、かつ大量に発生する業務の効率化を得意とするため、バックオフィスの負担を軽減するツールといえます。総務や経理で担当している業務が典型的な例です。それらは、会社の規模の大小を問わず発生します。大企業でも中小企業でも社員の経費精算は必要だし、見積書や契約書、納品書などの作成も必要です。その意味で、RPAは中小企業の定型業務自動化にも大いに役立ちます。
また、多くの中小企業は、大規模なシステムの導入資金を確保するのが難しいという問題があります。その点、RPAは中小企業でも手の届きやすいツールです。当初は数1,000万円単位のコストがかかったRPAであっても、最近では手頃なパッケージ商品として誕生しています。
中には数10万円で導入できるものもあります。選択肢が増えているため、複数のRPAを試しながら自社に最適なものを選択できるようになってきました。
3. 比較検討
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 RPAとは
- 第2回 RPA導入のメリット
- 第3回 RPA導入事例
- 第4回 製造業におけるRPA導入
- 第5回 RPAの運用と今後の見通し