前回はロボットマニピュレータのアクチュエータについて解説しました。ロボットマニピュレータの駆動と制御には、アクチュエータ以外にセンサが必要です。搭載されたセンサの計測性能以上の精度を、マニピュレータは発揮できません。つまりアクチュエータと同様に、センサの性能がマニピュレータの性能を左右するのです。今回は、ロボットマニピュレータに用いられる代表的なセンサについて解説します。
第3回「ロボットマニピュレータのセンサ」を解説していきます。
1. センサの種類
センサとは、角度や距離、力、温度など物理量を計測する装置で、マニピュレータにはさまざまなセンサが搭載されています。ロボットマニピュレータは得られた物理量を目標値などと比較し、アクチュエータの駆動に反映させて、さまざまな動作をします。アクチュエータと同様に、センサの性能はマニピュレータ全体の性能を決める重要な要素の一つです。
考慮すべきセンサの特性は、コスト・耐久性・質量の他に、計測できる物理量の最大値と最小値です。計測対象となっている物理量がセンサの計測レンジ(幅)に入っていないと、計測できません。どの程度まで細かく物理量が計測できるかも重要です。角度センサであれば、計測可能な最小値が1 度と0.001 度では、計測精度が1,000 倍も違ってきます。計測可能な最小値を、分解能といいます。
計測時のサンプリング周期を知っておくことも重要です。例えば、あるセンサは0.001 秒ごとに計測可能であるのに対し、他のセンサでは1秒ごとにしか計測できない場合もあります。このように、センサの特性を十分に把握しておかないと、要求する値が計測できない場合があります。
今回は代表的なセンサとして、角度センサ、角速度センサ、力(ちから)センサの3 つを解説します。
2. 角度センサ
一般に角度センサは回転軸を持ち、その回転軸の角度を計測します。角度センサを用いることで、マニピュレータの関節(ジョイント)角度やアクチュエータの回転軸の角度を計測します。一般的な角度センサの形状は、モータとよく似ています。モータが電流などの駆動指令を入力することで軸を回転させるのに対し、角度センサは自力で軸を回転させることはできず、外部からの力により回転した軸の回転角度を計測・出力します。代表的な角度センサに、ポテンショメータとエンコーダがあります。
・ポテンショメータ
ポテンショメータとは、可変電気抵抗回路の電圧変動を利用した角度センサのことです(図1)。軸の回転角に比例した電圧を出力し、その電圧を計測することで軸の回転角を逆算します。長所は簡単な構造で扱いやすい点、短所は寿命が短いことや、出力される電圧信号にノイズが乗りやすい点などです。
・エンコーダ
エンコーダとは、発光部と受光部、回転軸に固定された円盤などで構成されている角度センサ(図2)です。円盤には複数の溝があり、軸が回転すると光が溝を通過した回数(パルス)を受光部が計測し、カウンタ装置でカウントします。軸の回転数に比例したパルス数から、回転角を計測します。例えば、軸が1 周すると3,600 パルスを出力する製品では、1 パルスをカウントするごとに軸が0.1 度動いたことになります。エンコーダはポテンショメータに比べ寿命が長く、ノイズの影響を受けにくい長所があります。欠点は構造が複雑で、比較的高価なことなどです。
角度センサは単体の製品と、直流モータに組み込まれていて回転軸を直接計測する製品があります。
3. 角速度センサ
4. 力センサ
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ロボットマニピュレータとは?
- 第2回 ロボットマニピュレータのアクチュエータ
- 第3回 ロボットマニピュレータのセンサ
- 第4回 ロボットマニピュレータの自由度
- 第5回 マニピュレータの運動学
- 第6回 力制御とインピーダンス制御