前回は、代表的な小集団活動であるQC サークル活動を紹介しました。今回は、QC 活動の実践に役立つ具体的な手法として、なぜなぜ分析と目で見る管理を紹介します。どちらもトヨタ生産方式の代表的な手法の一つで、QC 活動で活用すれば、製品の品質安定を見込めます。
第5回「なぜなぜ分析・目で見る管理」を解説していきます。
第5回もくじ
1. トヨタ生産方式に学ぶ品質安定のヒント
本連載の第3 回で、トヨタ生産方式(Toyota Production System、TPS)における品質の考え方を解説しました。トヨタ生産方式では、さまざまな改善手法が、継続して開発されています。トヨタ生産方式の代表的な改善手法は、ムダの排除、品質向上、在庫削減・生産性向上、ジャスト・イン・タイムの実現の4 つの目的に分類できます(図1)。
このうち、品質向上に役立つ手法としては、なぜなぜ分析、目で見る管理、ポカヨケがあります。また、生産性向上に有効な標準作業は、品質の安定にも役に立つ手法です。今回は、これら4 つの手法から、なぜなぜ分析と、目で見る管理の2 つを解説します。ポカヨケ、標準作業の2つについては、次回解説します。
トヨタ生産方式を導入する際の注意点は、それぞれの企業に適した方法にアレンジすることです(参照: 標準作業と異業種展開、トヨタ生産方式の基礎知識4 )。そのためには、各手法の目的や考え方を、正しく理解することが重要です。
2. なぜなぜ分析
不良品や機械トラブルが発生したとき、直感で対策を行ったものの、なかなか解決できなかった経験はありませんか? 現場の担当者は、毎日、製品や機械を見ているので、直感で対応できると考えがちです。しかし、直感による対策が、常に適切とは限りません。問題発生のたびに事後処理を行っていれば、最善策を施すことができず、トラブル対策にも時間がかかってしまいます。
トヨタ生産方式では、問題が発生すると、なぜなぜ分析を行います。なぜなぜ分析とは、発生した問題に対して「なぜ」を5 回繰り返すことで、真の原因を追求し、問題を根本から解決する手法です。1 つの問題に対し、5 回の「なぜ」を考えることは、実はかなり難しいことです。しかし、トヨタでは「なぜ」と5 回繰り返すことで、真の原因がほぼ見つかることを経験上知っているため、なぜなぜ分析を重要と見なしています。
図2 に、なぜなぜ分析で、機械故障の真因を追求した事例を示します。
この事例では、なぜ機械の故障が生じたのかを問うことから始め、問いを5 回繰り返すことで、真因の追求に至っています。一般的に、故障した機械の状況を調べれば、原因は油切れであることは、すぐに分かります。対策として、注油を行うことも容易です。しかし、これでは根本的な解決になっておらず、また同じ故障が発生してしまいます。事例では、故障箇所の注油を定期点検項目に入れることで、再発を防ぎました。
さらに、注油が定期点検項目に入っていなかった原因を追求すると、定期点検項目の策定者が、機械構造を十分に理解していなかった、すなわち教育の不十分が明らかになりました。メカ構造に関する教育を行い、機械のどの箇所に注油が必要かを理解できれば、定期点検項目から漏れている他の箇所にも気付くことができます。
問題が生じたときには、現場の現実をしっかり見ることが最も重要です。問題となった不良品や機械を見ることは、一般的な対応です。しかし、これだけでは最も重要な現実、なぜ問題が起きたのかという真の原因は見ていません。場当たり的な対応では、同じトラブルを再発させるだけです。トラブルが発生した原因を追求するには、しっかりと問題点に向き合って、なぜを5 回繰り返し、真因を追求します。この方法を用いれば、根本的な解決を導き出せるでしょう。
3. 目で見る管理とは?
第7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 QC活動とは
- 第2回 QC7つ道具
- 第3回 トヨタ生産方式から学ぶ品質向上
- 第4回 QCサークル活動とは
- 第5回 なぜなぜ分析・目で見る管理
- 第6回 ポカヨケと標準作業
- 第7回 5S活動とQC活動