ターボポンプの比速度と特性曲線|ポンプの基礎知識8

ポンプの基礎知識
著者:防衛大学校 機械システム工学科 元教授(芝浦工業大学 UniKL-JUPプログラム 非常勤講師)西海 孝夫

前回は、ターボポンプの性能曲線について、効率曲線の読み方とポンプの運転を取り上げて解説しました。今回は、ターボポンプの比速度と、その特性曲線について解説します。2つのインペラが幾何学的に相似であり、流れも相似である場合、2つのターボポンプは、その大きさに関係なく同じ特性を持ちます。

第8回「ターボポンプの比速度と特性曲線」を解説していきます。

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1. 比速度

ターボポンプの種類には「遠心ポンプ」、「斜流ポンプ」、「軸流ポンプ」があり、それぞれインペラの大きさや形状が異なっています。要求されるポンプ性能(全揚程、吐出し量、回転速度)が決まっていてターボポンプを選定したい場合、どのような基準で選べば良いでしょうか。その基準として、ポンプの水力学的な特性から得られる、次式の比速度n s があります。

nは回転速度[min -1 ]、Qは吐出し量[m 3 /min]、Hは全揚程[m]を示します。なお、比速度n s [m,m 3 /min,min -1 ]は、今回の第4章にて後述するように相似則から求めることができます。また、比速度n s を数値で得るためには、一般に吐出し量Qや全揚程Hに最高効率点での値を用います。

図1に、ポンプのインペラ形状と比速度n s との関係を示します。一般に、比速度が低い場合には全揚程が高くなり吐出し量が小さく、逆に、比速度が高い場合には全揚程が低くなって吐出し量が大きくなります。図1でも分かるように、比速度n s が増加するにしたがって、インペラ形状は遠心式から斜流式、軸流式へと変化していきます。

インペラ形状と比速度
図1:インペラ形状と比速度(参考:Essentials of Pump Applications、Doc.-No.Ehmf-77091、公益財団法人 荏原畠山記念文化財団)

比速度の単位は、一般には回転速度nを[min -1 ]、吐出し量Qを[m 3 /min]、全揚程Hを[m]を用いて表します。しかし、JIS B0131では、分[min]の代わりにSI基本単位の秒[s]を用い、回転速度の単位を[s -1 ]、吐出し量Qの単位を[m 3 /s]に置き換え、次式の示すとおり比速度n s ʼ でも定義されています。

なお、比速度の式において、両吸込形ポンプでは吐出し量Qは半分に、多段のポンプでは全揚程は一段当たりの全揚程にする必要があります。

比速度n s は、ターボポンプにおいて重要なパラメータの1つです。もし、2つのポンプが同じ比速度を持てば、インペラの大きさが異なっていても幾何学的な形状は相似であり、同一の性能を有します。この比速度n s は、通常では最高効率点での性能に対して求められ、相似形状のポンプでは、大きさや回転速度の大小にかかわらず一定となります。

JIS B 0131では、比速度の他に形式数Kが定義されます。形式数とは、次式で与えられ、次元を持たない無次元数です。

π は円周率、gは重力加速度[m/s 2 ]です。なお式1、式3より、比速度n s [m,m 3 /min,min -1 ]と形式数Kには、次式の関係があります。

2. 比速度に対する特性曲線

特性とは、ポンプの種類と形状が決定されることで、ポンプの大小に関係なく決まる、性能面での特徴をいいます。図2に示す特性曲線は、比速度 n s (あるいは形式数 K)の変化によって、吐出し量 Q を横軸に取り、全揚程 H、軸動力 L s 、ポンプ効率ηがどのように変化するかを示しています。

図 2 では、ターボポンプの典型的な例として、ディフューザポンプ、渦巻ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプの特性曲線例をあげ、横軸および縦軸ともに、最高効率点の性能に対する比を、百分率[%]で表しています。図 2 から、締切運転時での揚程(締切揚程)や軸動力(締切軸動力)は、比速度が小さいディフューザポンプでは小さく、比速度が大きい軸流ポンプでは大きくなっていることが分かります。なお、締切運転とは、ポンプ吐出し側のバルブを締め切り、吐出し量を 0 にした運転状態です。

比速度ns(形式数K)によって変化する特性曲線
図2:比速度n s (形式数K)によって変化する特性曲線(参考:機械工学便覧応用システム編γ2流体機械、日本機械学会編、2007年)

図3は、比速度 n s (あるいは形式数 K)を横軸に取って、ポンプ効率ηを示しています。比速度が高くなるにしたがって、インペラの形式を遠心式、斜流式、軸流式とした方が効率を高く維持できることが分かります。他方では、比速度が低くn s <80 となると、効率面から容積形ポンプを選定するのが適切です。なお、図中の実線はターボ形全般の効率を表しています。

比速度(形式数)に対する効率の変化
図3:比速度(形式数)に対する効率の変化(参考:機械工学便覧応用システム編γ2流体機械、日本機械学会編、2007年)

図4は、アメリカの Worthington Industries が、横軸に比速度 n s [m,m 3 /min,min -1 ]、縦軸にポンプ効率ηをとり、ポンプ容量(吐出し量)の範囲ごとに過去の統計データを整理したグラフです。これによって、比速度とポンプ吐出し量が分かれば、概略のポンプ効率を想定できます。ただし、同じ比速度 n s でも、ポンプ吐出し量 Q[m 3 /min]が増加すると、効率は向上しています。ポンプ容量が比較的に大きな場合には、n s =300 ~ 500[m,m 3 /min,min -1 ]において、最適なポンプ効率を得ることができます。

比速度とポンプ効率
図4:比速度とポンプ効率(参考:Essentials of Pump Applications、Doc.-No.Ehmf-77091、公益財団法人 荏原畠山記念文化財団)

3. 吸込比速度

4. 相似則

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全10回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 ポンプとは
  • 第2回 ポンプのための流体力学の基礎
  • 第3回 ターボポンプの構造と分類
  • 第4回 ターボポンプの仕様
  • 第5回 ターボポンプの選定
  • 第6回 ターボポンプの効率と動力損失
  • 第7回 ターボポンプの性能と運転
  • 第8回 ターボポンプの比速度と特性曲線
  • 第9回 ターボポンプのキャビテーションと吸込み性能
  • 第10回 ターボポンプの理論揚程

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