前回は、ターボポンプに入出力される動力、ポンプで生じる損失、ポンプ効率について解説しました。ポンプを運転する際の回転速度や全揚程、吐出し量、軸動力、効率などの相互関係を「性能」といいます。今回は、ターボポンプの性能曲線、特に効率曲線の読み方と、ポンプの運転について解説します。
第7回「ターボポンプの性能と運転」を解説していきます。
1. ターボポンプの性能曲線
図1は、ターボポンプ運転時の回転速度、全揚程、吐出し量、軸動力、効率の相互関係を表した性能曲線です。一般には、図のように横軸の吐出し量Qに対して、縦軸に回転速度n、全揚程H、効率η、軸動力L s をとって示します。吐出し量が Q=0 のときの全揚程 H は「締切揚程」と呼ばれ、吐出し管のバルブが全閉の状態での運転を表します。バルブを徐々に開けていくと、吐出し管に液体が送られると同時に、全揚程Hは減少していきます。このようなポンプ特性を「下降特性」、あるいは「右下がり特性」と呼びます。一方、全揚程Hの最大値が締切揚程よりも大きいポンプ特性を「山形特性」、あるいは「中高特性」と呼びます。
JIS B 8313では、小形渦巻ポンプの効率は、図2に示すとおり、A効率およびB効率で規定されています。A効率とは、ポンプ特性曲線の示す最高効率がこれ以下になると、日本工業規格 JIS のポンプとして認められない値です。B効率は、ポンプ仕様の規定吐出し量における最低の効率で、仕様を決定する際にはこの値以上にする必要があります。
図3では、A効率とB効率について例示するために、ターボポンプの吐出し量Qに対して、全揚程Hと効率ηの概略を示します。最高効率点(BEP:Best Efficiency Point)、すなわちポンプ効率ηが最高となる運転点(1)は、図2に示す吐出し量QのA効率よりも高く、規定の吐出し量Q sp での効率値を示す点(2)は、B効率よりも高くなければなりません。
2. ターボポンプの運転
ポンプ下部のタンクから上部のタンクに管路、フート弁、吐出し弁などの管路系を通り揚液する、一般的なターボポンプの運転について考えましょう(図4)。ポンプ運転によって生じる抵抗 H r は、実揚程 H a と、管路とバルブの損失ヘッド h l との和で、次式で表されます。
図4に示す場合では、実揚程 H a は、両方のタンク液面に大気圧が作用しているために、タンク液面の差であり、実高さとなります。また、損失ヘッドh l は、管路系の流れが乱流であるならば流速vのほぼ二乗、すなわち吐出し量 Q の二乗に比例すると考えられます。
したがって、図5に示すように、横軸に吐出し量 Q を、縦軸に揚程H をとると、ポンプの抵抗曲線H r は、縦軸で H a の切片を持つ放物線として表せます。また、典型的なポンプの揚程曲線 H t を赤線で示します。これらの揚程曲線と抵抗曲線との交点 P を「運転点」と呼び、性能線図上で実際にポンプが運転される状態を示しています。このときの流量は、吐出し弁(仕切弁など)の開度を変化させることでポンプ流量が増減し、図中の青の破線と赤線の交点で示す運転点は、グラフ上を左上、または右下に移動します。
3. ターボポンプの並列運転と直列運転
4. ターボポンプの回転速度制御
全10回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 ポンプとは
- 第2回 ポンプのための流体力学の基礎
- 第3回 ターボポンプの構造と分類
- 第4回 ターボポンプの仕様
- 第5回 ターボポンプの選定
- 第6回 ターボポンプの効率と動力損失
- 第7回 ターボポンプの性能と運転
- 第8回 ターボポンプの比速度と特性曲線
- 第9回 ターボポンプのキャビテーションと吸込み性能
- 第10回 ターボポンプの理論揚程