プレス機械のトルク能力、公称能力、仕事能力とは?|プレス加工の基礎知識3

プレス加工の基礎知識
著者:塑性加工教育訓練研究所 小渡 邦昭

前回は、被加工材の特性を解説しました。今回は、プレス機械の基本的な能力、プレス機械の3 要素(トルク能力、公称能力、仕事能力)を解説します。

第3回「プレス機械のトルク能力、公称能力、仕事能力とは?」を解説していきます。

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1. プレス機械の種類と機構

プレス加工の生産現場では、プレス機械が稼動しています。一見、どの機械も単純に金型が上下するだけで、製品が次々と出来るように思うかもしれません。しかし、プレス機械にはさまざまな種類があり、動力や動作も異なります。

まず、プレス機械の種類を確認しましょう。上下運動を行うための動力源には、機械式(回転運動を上下運動に変更する機構)と油圧式(空気圧力や水圧も利用可能)があります。今回取り上げるのは、機械式プレス機械です。機械式プレス機械は、油圧式より利用率が高く、多くの種類があります。上下運動する機構には、以下のような種類があり、異なる動きをします(図1)。

・クランク機構:上昇運動・下降運動とも、同じように動く機構
・リンク機構:下降時は低速で、上昇時は高速で動く機構
・ナックル機構:上下運動の最も下がった位置で一時的に停止するように動く機構

機械式プレス機械の種類と、主歯車の回転角度の推移グラフ
図1:機械式プレス機械の種類と、主歯車の回転角度の推移グラフ

機械式プレス機械で大きな割合を占めるクランク機構を取り上げ、プレス機械の特徴と使用上の問題点を解説します。「プレス機械」は、「クランク機構で動くプレス機械」の意味で使用します。

2. クランク機構の特徴とプレス機械

クランク機構の身近な例は、車のエンジンです。タイヤを回転させるために、ピストンが燃焼室の爆発による上下運動を、回転運動に変換します。これとは逆で、クランク機構のプレス機械は、回転運動を上下運動にする機構を利用しています(図2)。

プレス機械のクランク機構の構成
図2:プレス機械のクランク機構の構成

クランク機構の特徴を理解するには、腕立て伏せをイメージするとよいでしょう(図3)。腕立て伏せの腕を伸ばした状態で、背中に人が腰かけたとしても、多少は耐えられます。しかし、腕を折り曲げた状態で背中に人が腰かけたら、かなりの腕力がなければ耐えられません。

腕立て伏せによるクランク機構のイメージ
図3:腕立て伏せによるクランク機構のイメージ

プレス機械で上下する部位を、スライドと呼びます。クランク機構のプレス機械では、スライドの位置によって耐えられる力が異なります。また、スライドの位置によって、プレス加工で利用する荷重に耐えられる度合いが異なります。プレス機械のスライド位置が、最も高い位置を上死点、最も低い位置を下死点といいます。実際のクランク機構プレス機械における、下死点と上死点の特徴は以下です。

・上死点と下死点では、大きな荷重に耐えられます。
・上死点と下死点の中間位置では、大きな荷重に耐えられません。

このように、クランク機構のプレス機械は、中間位置から上死点へ上昇するにつれて、より大きな荷重に耐えることができます。

クランク機構のプレス機械における下死点と上死点
図4:クランク機構のプレス機械における下死点と上死点

3. プレス機械のトルク能力と公称能力

4. プレス機械の仕事能力

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全9回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 プレス加工とは?プレス加工の3要素とは?
  • 第2回 被加工材の特性
  • 第3回 プレス機械のトルク能力、公称能力、仕事能力とは?
  • 第4回 金型とは何か?なぜ金型が必要か?
  • 第5回 プレス加工の種類
  • 第6回 せん断加工とは?
  • 第7回 曲げ加工とは?
  • 第8回 絞り加工とは?
  • 第9回 プレス加工の安全対策

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