1. トラブルの実態
皆さんは、次のような経験はありませんか?
・塩や砂糖がいつの間にか固まってしまい容器から出てこない(固結)
・ふりかけやゴマ塩などを振り出す時、塩が先に多く出てきてしまう(偏析)
・ごまのすり具合やコーヒー豆の挽き加減(粒度)によって出来上がった物の味や風味が異なる
このような粉体のトラブルを工学的に分類すると、付着・凝集、固結、閉塞、偏析、発じん、帯電、摩耗などとなります。
一般社団法人日本粉体工業技術協会が行なったアンケートによる調査では、図1のように、トラブルが発生する産業分野は、ほぼ生産量の多い順(無機材料、医薬品・農薬、食品・飼料の順)になっているようです。
工程別では、図2のように輸送・供給など粉体のハンドリング工程が全体の約70%を占めています。
さらに、ハンドリングを困難にしている要因は、図3のように粉体と容器や機器の内壁との接触面における付着、粉体同士の凝集・固結、容器内や排出時の偏析・偏流、貯槽などの容器に入れる際の発じん・飛散などが全体の約70%を占めていることが分かります。
このように、粉体に関わるトラブルは粉体物性が大きく関与していますので、必要な粉体物性をいかに的確に把握し評価できるかが大きなポイントになります。ここで、トラブルを起こしやすい粉体物性と運動との関係を表1にまとめました。
粉体物性として、粒径、水分、付着点数(付着強度を0~ 9の10段階に区分)、圧縮率、C.R.H(Critical Relative Humidity:固結が起こりにくい関係湿度)、硬さ比などを考慮します。そして、粉体の運動速度は5m/sを境界として高速と低速に分け、トラブル内容と関係付けています。このような事例に基づいて、粉体物性とトラブルの関係を把握していくことが大切です。
2. トラブルの対策
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 粉の歴史とその恩恵
- 第2回 粉体の基礎物性
- 第3回 粉体の特性
- 第4回 さまざまな分野で使われる粉粒体
- 第5回 粉体に関するトラブルの実態と対策