第4回「さまざまな分野で使われる粉粒体」を解説していきます。
1. 食品
「粉の歴史とその恩恵」の回でご紹介したように、粉体が使われている場面は実に多岐にわたります。ここでは、代表的な製品を例に、どのような粉体が使われているのか見ていきましょう。
食品は、視覚、臭覚、味覚、触覚、聴覚などの、いわゆる五感でおいしさが判定されるため、たとえば、舌ざわりにざらつき感が出てくる粒子径は20~30μm以上であるなど、その制御はきわめて重要です。ここでは、代表的な食品粉体として、小麦粉と調味料について紹介します。
小麦は、図1のように、皮部、胚乳部、胚芽部からなっていて、縦方向に深い粒溝があります。この部分は食用には適しませんので、米のように削り取る方法ではなく、粉砕・分離を経て小麦粉として使われます。
また、胚乳部に多く含まれるたんぱく質の一種グルテンは、粉状でないと効果を示さないことからも、ほとんどの場合、粉にして加工食品用原料として用いられます。
小麦粉は強力粉と薄力粉、その間の中力粉に分類されています。これは原料の種類と粒子径によって分けられています。
強力粉は硬質小麦を用い、粒子径は50~70μm程度で、主としてパンや中華麺の原料として用いられます。薄力粉は軟質小麦を用い、20~40μmに調整され、菓子やてんぷら粉として用いられます。また、粒子径によってもグルテンの含有率が変化しますので、分級することによってさまざまな用途の小麦粉が作られています。
調味料は、グルタミン酸ソーダをはじめ、風味調味料、香辛料、核酸系調味料などに分類されます。これらを組み合わせたものなどを含めると非常に多くの種類があります。
[ 調味料の製法]
晶析法:
液体原料を濃縮晶析により結晶を分離する方法で、食塩、グルタミン酸ソーダ、各種アミノ酸などの製造に用いられます。
乾燥法:
液体原料を直接乾燥して粉体にする方法で、味噌、醤油、酢、その他天然調味料などの製造に用いられます。
混合法:
各種粉体調味料を原料として、粉砕、混合、造粒などの操作により、目的の機能をもった調味料を製造する方法。風味調味料、複合調味料など、粉末調味料の多くがこの方法により製造されています。
2. 化粧品
化粧品は長期にわたり人体に使用されることから、多くの基準や規格が定められています。化粧品用の粉体は、ファンデーション、口紅の着色料、マスカラ、アイライナーなど仕上げ化粧品が中心です。
主な顔料を表1に示します。化粧品用の粉体は粒子径が0.01μm~20μm、粒子形状は扁平状、真球状、中空状、不定形などさまざまです。この違いが、使用感、肌への付着性、伸び、紫外線遮断効果などに大きく影響します。
最近ではUV化粧品として、図2のように、雲母やマイカなどの扁平粒子に数μmの球形樹脂をコーティングして、延びや紫外線遮断効果をさらに高めているものがあります。
また、二酸化チタンに格子欠陥を持たせたものは光感応パウダーと呼ばれ、強い日ざしの室外に出ると色が若干濃くなり、自然な白さを保つファンデーションとして使われています。
3. 医薬品
4. セラミックス
5. 粉末冶金
6. OA機器関連
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 粉の歴史とその恩恵
- 第2回 粉体の基礎物性
- 第3回 粉体の特性
- 第4回 さまざまな分野で使われる粉粒体
- 第5回 粉体に関するトラブルの実態と対策