第3回「粉体の特性」を解説していきます。
第3回もくじ
1. 付着力と付着・凝集性
粉体を構成している個々の粒子間には、相互に及ぼし合う力が働いています。この性質を付着性あるいは凝集性といいます。しかし、両者を区別せずに付着・凝集性ということが多いようです。
粒子の付着力は粒子径のほぼ1乗に比例し、重力は粒子径の3乗に比例します。
したがって、両者の関係は、図1のように数10μm付近で交差します。この部分から右側を重力支配の粉体、左側を付着力支配の粉体と呼んでいます。
粒子間に働く主な付着力は以下の3つで、実際にはこれらが複合して付着力が発現します。
・ファンデルワールス力(Van der Waals力)
粒子間に働く基本的な相互作用力で、粒子径、接触状態、粒子の組成などによって異なります。
・静電気力
粒子間の摩擦や衝突、それに伴う破砕などで発生します。湿度が低い場合に大きく作用します。
・液架橋力
粒子間の接触部分に生じる狭い空間に液体が存在することにより発生します。湿度が高い場合に大きく作用します。
測定方法は、単一粒子を扱う場合と粉体層を対象とする場合に分けられます。単一粒子の付着力の測定法は、図2 のような、スプリングバランス法(原子間力顕微鏡(AFM) を用いる測定法)、遠心分離法、衝撃分離法などが提案され、測定装置が市販されています。
粉体層の付着力(引張り破断強度)の測定法は、図3のような、水平引張り型と垂直引張り型があります。昔は市販の製品がありましたが、現在は販売されていないようです。
2. 充填性
充填性は、各種容器、型枠などに粉体を充填する場合の操作性に大きく影響する特性です。充填性の指標は比較的簡単な装置で測定することができます。
最もよく使われている指標は空間率εで、粉体のかさ体積に占める空間の割合で表わし、式のように定義されます。
ここで、ρ b は粉体のかさ密度、ρ p は粉体の粒子密度、Mは粉体の質量、Vは粉体のかさ体積です。
この式で用いられているかさ密度ρ b は、空間率εとの間で互いに換算できる値で、粉粒体の質量や体積を求めるのに便利なことから、充填性の指標として用いられています。測定方法は、分野ごとにJISで規定されています。測定装置の一例を図4に示します。
ほかに、粉体の充填の度合いを示す指標として、表1に示すような方法があります。
また、以下のような充填方法を用いて、経過時間や回数によるかさ密度または空間率の変化を測定することで、充填のしやすさを評価することができます。
・タッピング法
粉体を充填した容器を一定高さから一定間隔で落下させる。
・振動法
粉体を充填した容器を振動させる。
・遠心法
粉体を充填した容器を遠心機により回転させる。
その他、ピストン、棒などでつき固めて加圧する方法などもあります。なお、初期充填もきわめて重要な操作です。粉体の性状に応じた再現性のよい充填方法を選ぶことが大切です。
3. 流動性
4. 粉体層に働く力
全5回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 粉の歴史とその恩恵
- 第2回 粉体の基礎物性
- 第3回 粉体の特性
- 第4回 さまざまな分野で使われる粉粒体
- 第5回 粉体に関するトラブルの実態と対策