前回は、押出成形とブロー成形を解説しました。今回は、プラスチックの可能性をさらに高める二次加工を紹介します。
第5回「プラスチックの二次加工」を解説していきます。
第5回もくじ
1. プラスチック二次加工の種類
多くのプラスチック製品は、付加価値を高める、組立・製造をしやすくするなどの目的で二次加工を行います。図1 に、主な二次加工の種類を示します。
二次加工は、接合、表面処理、機械加工の3 つに分類でき、それぞれ単独で用いることも、複数組み合わせて利用することもあります。また、成形法(金型)、材料、二次加工を組み合わせると、ほぼ無限のバリエーションを生み出すことができます。これが、発想次第でさまざまな付加価値を創出できるプラスチックの面白さです。一方で、適切な組み合わせを見いだすには、幅広い知識が必要です。プラスチックを使った製品に関わる人には、二次加工についても、ぜひ深く知ってほしいです。
二次加工は広範囲の技術分野が関係し、それぞれ高いレベルの知識やノウハウが必要です。成形法や材料、金型の専門が細分化されているのと同様に、二次加工もそれぞれの分野で専門家が存在します。一人の技術者が全ての二次加工に精通することは不可能です。各分野の専門家の協力を得ることが、プラスチックをうまく使いこなすコツです。
それでは、プラスチックの特徴を生かした加工例を挙げながら、3 種類の二次加工について詳しく見ていきましょう。
2. 接合
接合は、プラスチック製品同士、あるいはプラスチック製品と異材質の製品をつなぎ合わせる二次加工です。ほとんどの場合、複数の部品を組み合わせることで製品として完成します。そのため、製品の要求事項に合わせた多種多様な接合方法が実用化されています。代表的な接合方法は、機械締結、溶着/ 溶接、接着の3 つです(表1)。
多くの接合方法は、プラスチック以外の材料でも用いられます。また、プラスチックが比較的低い温度で溶融するという特徴を生かした、プラスチック材料の接合方法が考案されています。その事例を2 つ紹介します。
接合の事例:超音波溶着
超音波溶着は、超音波振動のエネルギーを使った接合法です(図2)。
接合する製品には、エネルギーダイレクターと呼ばれる突起をあらかじめ設けておきます。そして、ホーンでその部分に圧力を加えながら、超音波振動を与えます。エネルギーダイレクターの温度が上がり、プラスチックが溶融・固化することで、製品同士が接合します。接合は数秒程度で完了するため、生産性が非常に高いのが特徴です。また溶剤が不要なので、作業環境の改善につながることも大きなメリットです。自動車、家電、日用品など、さまざまな製品で利用されています。
接合の事例:高周波誘導加熱による金属ナットのインサート
加熱した金属ナットをプラスチック製品にインサートすることで、機械的に締結する接合法です(図3)。
高周波誘導加熱で金属ナットを温め、プラスチックの穴にインサートします。加熱することで穴の周囲が柔らかくなり、スムーズに挿入することができます。抜け防止にも効果を発揮します。
3. 表面処理
4. 機械加工
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 プラスチックとは?メリットとデメリットとは?
- 第2回 プラスチックの材料特性
- 第3回 プラスチック成形法と射出成形
- 第4回 押出成形とブロー成形
- 第5回 プラスチックの二次加工
- 第6回 プラスチック製品の設計手順
- 第7回 プラスチック製品の材料と成形法の選び方
- 第8回 プラスチック製品の不具合