特許を取るまでの流れ|特許出願の基礎知識3

特許出願の基礎知識
著者:ソナーレ特許事務所 弁理士・技術士 高橋政治

前回は、そもそも特許とは何か、という根本的な解説をしました。今回は、特許出願から特許権が取れるまでの流れと、取得後の対応について説明します。特許出願をしてから特許権が取れるまでには、いくつかの手続きが必要で、通常は数年の期間がかかります。興味がある方は、ぜひこの流れを確認してください。

基礎知識DL

1. 出願するときに用意する書類

特許出願の際には、願書、明細書、特許請求の範囲および要約書、そして、必要なら図面を作成し、これらの書類を特許庁へ提出(出願)します。

・願書
出願人や発明者の情報を記載する書類です。形式や項目には決まりがあるので、それにのっとって記載します。

・明細書
発明の内容を詳細に説明する書類です。記載する順番、項目などに決まりがあるので、それにのっとって記載します。

・特許請求の範囲
発明そのものを記載する書類です。この書類の記載内容によって特許権の範囲が決まるため、最も重要な書類といえます。

・特許請求の要約書
発明の要約を記載する書類です。

上記の4つの書類は必須書類であり、このうちの1つでも欠けると、特許権は取得できません。これに対して、図面は必須書類ではありません。

機械系や構造物系の発明の場合、通常は図面を作成して出願書類の1つとします。一方、化学物質の製造方法に関する発明などの場合は、図面を提出しないこともあります。

2. 手続きの流れ

特許出願から特許権が取れるまでの流れを、図1に示します。なお、この図に示す流れは典型例であって、必ずしもこのようになるとは限りません。

特許出願から特許権が取れるまでの流れ(引用:高橋政治著、技術者・研究者のための特許の知識と実務(第4版)、秀和システム、2022年、P.19)
図1:特許出願から特許権が取れるまでの流れ(引用:高橋政治著、技術者・研究者のための特許の知識と実務(第4版)、秀和システム、2022年、P.19)

<出願公開>
特許出願をすると、出願した日から1年6カ月経過後に、特許出願書類の内容が公開されます。これが出願公開です。公開後、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)から、誰でもその内容を見ることができるようになります。

<出願審査請求>
特許出願した日から3年以内に、特許庁に対して出願審査請求を行うことができます。出願審査請求とは、特許出願人が「この発明について特許を与えてくれるか否かを審査してください」と特許庁に請求することです。この出願審査請求を期間内に行わないと、特許出願は取り下げたものと見なされます。つまり、特許出願を捨てるのと同じことです。

出願審査請求を行うためには、審査のための費用を特許庁に支払う必要があります。この費用は比較的高く、15万円ほどになります。

なお、出願から3年以内なので、出願したその日にでも出願審査請求を行うことが可能です。原則的に、出願審査請求が行われた順に特許庁内での審査を行いますので、早く出願審査請求をすれば、それだけ早く特許権が成立する可能性が高くなります。

<拒絶理由通知または特許査定>
出願審査請求を行うと、特許庁から拒絶理由通知書、または特許査定が届きます。ただし、非常に多くの場合、届くのは拒絶理由通知書です。拒絶理由通知書には、特許査定を出さない(特許権を与えない)と審査官が判断する理由が記載されています。

これに対して、特許出願人は意見書を提出して反論することができます。また、拒絶理由通知書の内容が妥当だと思う場合、特許出願人は特許請求の範囲の記載を変更することができます。このような変更を補正といいます。

<拒絶査定または特許査定>
拒絶理由通知に対し、意見書や補正書を提出することで拒絶理由が解消すれば、めでたく特許査定となります。しかし、拒絶理由が解消しない場合は、拒絶査定がなされます。

ひと昔前までは、1度目(最初)の拒絶理由通知書に対して補正などを行った後、2度目(最後)の拒絶理由通知書が来ることも多くありました。それに対する補正などでも拒絶理由が解消しなかった場合に、拒絶査定がなされるのです。しかし、最近では1度目の拒絶理由通知書に対して行った補正がダメであれば、2度目の拒絶理由通知書は届かずに拒絶査定となる場合が多くなっています。したがって、1度目の拒絶理由通知書が来た場合、2度目の拒絶理由通知書は来ないと考えるべきです。特許が取得できるような補正をしっかり考えた上で、それを記載した補正書を提出しましょう。

特許査定が出た場合は、その後に特許料を支払うことで、特許権の設定登録がなされます。特許査定が出ても、特許料を支払わなければ、原則として特許権は得られないので注意が必要です。後述する特許審決が出た場合も同様です。また、特許権を得た後も、特許権を維持するために特許料を支払う必要があります。

<拒絶査定不服審判>
拒絶査定に納得できない場合、拒絶査定不服審判を請求することができます。

拒絶査定不服審判は、審査官ではなく審判官が行います。それも3人、または5人が話し合いながら行います。判断する人が変わるため、審査段階で拒絶となったものが、意外とあっさり特許が認められる場合もあります。

なお、この拒絶査定不服審判を行うときに、特許請求の範囲や明細書を補正することができます。補正を行った場合、拒絶査定を出した審査官が再度、審査を行います(前置審査)。それでも拒絶理由が解消しない場合は、拒絶査定不服審判が始まります。

<拒絶審決または特許審決>
3人、または5人の審判官が話し合って考えても、「やっぱり拒絶」という結論が出ることがあります。これが拒絶審決です。逆に、「審査官の判断は間違っていたから、特許にする」と判断される場合もあります。これが特許審決です。

<審決取消訴訟>
拒絶審決に納得できない場合、裁判所に訴えることができます。これが審決取消訴訟です。

<最高裁判所>
審決取消訴訟で負けた場合、不服なら最高裁判所に訴えることができます。

3. 特許が取れた後

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 特許制度はなぜ、存在するのか?
  • 第2回 そもそも特許とは何か?
  • 第3回 特許を取るまでの流れ
  • 第4回 どのような発明であれば特許が取れるのか
  • 第5回 知っておくと得する手続き
  • 第6回 外国出願および関連する他の制度

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