前回は、ロールコーターやカーテンフローコーターなど、機械を用いた液膜転写法について解説しました。今回は、スプレーにより塗料を霧化して塗装する噴霧法と、霧状の塗料が受けるずり速度の求め方を解説します。
第4回「スプレー塗装の原理と種類」を解説していきます。
1. 噴霧法の手法と霧が発生する原理
噴霧法は、塗料を霧化して塗装する手法です。エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電スプレー方式の3つに大別され、この順に、塗着効率は向上します。
液体をひも状に噴出させ、空気と衝突させると霧になります。図1に、この原理を示します。霧吹きや缶スプレーは、この原理を利用しています。エアスプレー方式は、塗料を高速の空気流と衝突させ、霧化して塗装します。エアレススプレー方式は、塗料に高圧をかけて液膜を作り、大気(静止空気)と衝突させ霧にします。静電スプレー方式は、霧化した塗料の粒子を帯電させると同時に、静電界を作ることで、塗料を被塗物に付着させる塗装方法です。
2. エアスプレー方式
エアスプレー方式で使用される装置の構成を、図2の左図に示します。エアコンプレッサ(空気圧縮機)で加圧された空気が、エアスプレーガンに送られ、霧化した塗料で塗装します。
エアコンプレッサからの加圧空気の流れを、図3の右図に示します。A点から送り込まれた空気は、B点で、塗料ノズルの出口(塗料噴出口のC点)へ行く空気と、空気キャップの側面空気穴(角穴)へ行く空気に分かれます。
引き金は、2段階で引くように設計されています。1段目では、ニードル弁は動かず、塗料は移動しません。C点に加圧空気のみが送り込まれます。これにより、C点は減圧状態になります。2段目でニードル弁が引かれるときに、塗料は吸引されC点に移動します。塗料がC点から射出されると、加圧空気と混合し、霧化します。塗料と加圧空気が、スプレーガンの外部で接触するため、外部混合式スプレーガンと呼ばれます。
C点付近の拡大図を図3の左図に示しています。空気キャップには、中心空気穴、補助空気穴、側面空気穴(角穴)があります。中心空気と補助空気穴から噴出する空気が塗料を霧化し、丸形のスプレーパターンを作ります。角部の側面空気穴から噴出する空気が、スプレーパターンを丸形からだ円形に変形させます。
また、側面空気を噴出させる角の方向が、スプレーガンの運行方向になります。角が縦方向の場合には横型だ円のパターンが形成され、横方向の場合には縦型だ円のパターンになるからです。例えば、図3のスプレーガンは、角が縦方向であるため、縦方向に運行します。
噴霧法では、塗料が空気キャップの穴に付着しやすくなります。作業の合間には、空気キャップだけを取り外して、シンナーに浸せきしておきましょう。空気穴の詰まりを防げます。
霧化した塗料粒子の大きさが、仕上がりに影響を及ぼします。図4に示すように、塗料に対する空気の容量比が大きいほど、霧の粒子は小さくなり、仕上がり外観は良くなります。一般的には、塗料の体積に対して1,000倍以上の空気量が必要です。
3. エアレススプレー方式
4. 静電スプレー方式
5. 噴霧法における塗料が受けるずり速度
全9回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 塗装とは?はけ塗りの方法とは?
- 第2回 ローラブラシ塗り・浸せき塗り・電着塗装法
- 第3回 液膜転写法とは?
- 第4回 スプレー塗装の原理と種類
- 第5回 塗膜形成時に起こる欠陥
- 第6回 流動性と表面張力の影響による欠陥
- 第7回 塗膜形成後に生じる欠陥
- 第8回 割れの原因と対策とは?
- 第9回 塗膜形成後の欠陥「剥がれ」とは?