スプレー塗装の原理と種類|塗装・塗料の基礎知識4

塗装・塗料の基礎知識
著者:元職業能力開発総合大学校 准教授 坪田 実

前回は、ロールコーターやカーテンフローコーターなど、機械を用いた液膜転写法について解説しました。今回は、スプレーにより塗料を霧化して塗装する噴霧法と、霧状の塗料が受けるずり速度の求め方を解説します。

第4回「スプレー塗装の原理と種類」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 噴霧法の手法と霧が発生する原理

噴霧法は、塗料を霧化して塗装する手法です。エアスプレー方式、エアレススプレー方式、静電スプレー方式の3つに大別され、この順に、塗着効率は向上します。

液体をひも状に噴出させ、空気と衝突させると霧になります。図1に、この原理を示します。霧吹きや缶スプレーは、この原理を利用しています。エアスプレー方式は、塗料を高速の空気流と衝突させ、霧化して塗装します。エアレススプレー方式は、塗料に高圧をかけて液膜を作り、大気(静止空気)と衝突させ霧にします。静電スプレー方式は、霧化した塗料の粒子を帯電させると同時に、静電界を作ることで、塗料を被塗物に付着させる塗装方法です。

液体が霧になる原理(引用:坪田実、塗装技術2007年8月号、理工出版社、P.121)
図1:液体が霧になる原理(引用:坪田実、塗装技術2007年8月号、理工出版社、P.121)

2. エアスプレー方式

エアスプレー方式で使用される装置の構成を、図2の左図に示します。エアコンプレッサ(空気圧縮機)で加圧された空気が、エアスプレーガンに送られ、霧化した塗料で塗装します。

エアスプレー方式で使用される装置の構成(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.29)
図2:エアスプレー方式で使用される装置の構成(引用:坪田実、ココからはじめる塗装、日刊工業新聞社、2010年、P.29)

エアコンプレッサからの加圧空気の流れを、図3の右図に示します。A点から送り込まれた空気は、B点で、塗料ノズルの出口(塗料噴出口のC点)へ行く空気と、空気キャップの側面空気穴(角穴)へ行く空気に分かれます。

エアスプレーガンの構造
図3:エアスプレーガンの構造

引き金は、2段階で引くように設計されています。1段目では、ニードル弁は動かず、塗料は移動しません。C点に加圧空気のみが送り込まれます。これにより、C点は減圧状態になります。2段目でニードル弁が引かれるときに、塗料は吸引されC点に移動します。塗料がC点から射出されると、加圧空気と混合し、霧化します。塗料と加圧空気が、スプレーガンの外部で接触するため、外部混合式スプレーガンと呼ばれます。

C点付近の拡大図を図3の左図に示しています。空気キャップには、中心空気穴、補助空気穴、側面空気穴(角穴)があります。中心空気と補助空気穴から噴出する空気が塗料を霧化し、丸形のスプレーパターンを作ります。角部の側面空気穴から噴出する空気が、スプレーパターンを丸形からだ円形に変形させます。

また、側面空気を噴出させる角の方向が、スプレーガンの運行方向になります。角が縦方向の場合には横型だ円のパターンが形成され、横方向の場合には縦型だ円のパターンになるからです。例えば、図3のスプレーガンは、角が縦方向であるため、縦方向に運行します。

噴霧法では、塗料が空気キャップの穴に付着しやすくなります。作業の合間には、空気キャップだけを取り外して、シンナーに浸せきしておきましょう。空気穴の詰まりを防げます。

霧化した塗料粒子の大きさが、仕上がりに影響を及ぼします。図4に示すように、塗料に対する空気の容量比が大きいほど、霧の粒子は小さくなり、仕上がり外観は良くなります。一般的には、塗料の体積に対して1,000倍以上の空気量が必要です。

霧化した塗料粒子の大きさXsに及ぼす(空気/塗料)の容量比の関係(引用:樋口徹雄、J.Jpn.Soc.Colour Mater.(色材)vol.42、No.4、4 1561、1969年)
図4:霧化した塗料粒子の大きさXsに及ぼす(空気/塗料)の容量比の関係(引用:樋口徹雄、J.Jpn.Soc.Colour Mater.(色材)vol.42、No.4、4 1561、1969年)

3. エアレススプレー方式

4. 静電スプレー方式

5. 噴霧法における塗料が受けるずり速度

続きは資料をダウンロードしてご覧ください!

全9回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 塗装とは?はけ塗りの方法とは?
  • 第2回 ローラブラシ塗り・浸せき塗り・電着塗装法
  • 第3回 液膜転写法とは?
  • 第4回 スプレー塗装の原理と種類
  • 第5回 塗膜形成時に起こる欠陥
  • 第6回 流動性と表面張力の影響による欠陥
  • 第7回 塗膜形成後に生じる欠陥
  • 第8回 割れの原因と対策とは?
  • 第9回 塗膜形成後の欠陥「剥がれ」とは?

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから