NC加工の段取り作業|NCの基礎知識5

NCの基礎知識

著者:中国職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 能開教授 古城 良祐

NC加工の段取り作業には、工具や工作物の取り付けとあわせて、ワーク座標系原点や各種補正の設定、プログラムの転送(入力)があります。機械の稼働を止めて行う作業なので、すばやく正確に行う必要があります。ここでは、NC旋盤とマシニングセンタの段取り作業に絞って解説します。

第5回「NC加工の段取り作業」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 図面から製品になるまでの流れ

図1は機械図面から製品加工までの流れを示しています。NC工作機械の段取り作業は、工具番号や補正番号などの工具情報、工作物の大きさや加工形状、ワーク座標系設定に関する情報があれば、NCプログラミングと平行して作業することができます。

機械図面から製品加工までの流れ
図1:機械図面から製品加工までの流れ

2. 工具および工作物の取り付け

1)工具の取り付け
工作物の材質や加工形状に合わせて選定した工具をNC 工作機械に取り付けます。NCプログラミングの際に作成したツールリストの工具番号を参照して取り付けます。

NC旋盤について説明します。図2に示すような外径バイトや内径バイトを刃物台に取り付けます。外径バイトはNC旋盤の仕様によりシャンク(柄)の寸法が20mm角や25mm角などがあります。シャンク仕様にあわせたバイトを取り付けると、刃先の高さが主軸中心(工作物の回転中心)に合うようになっています。内径バイトは加工径により太さの異なるシャンクがあります。

外径バイト(左)と内径バイト(右)の一例
図2:外径バイト(左)と内径バイト(右)の一例

図3はタレットタイプの刃物台にバイトを取り付けた状態です。図のような、刃物台が対向側にあるNC旋盤は、バイトを裏向きに取り付けます。刃物台が手前側にあるNC旋盤は、バイトを表向きに取り付けます。タレットの端面にある数字が工具番号となります。

工具を取り付けた刃物台
図3:工具を取り付けた刃物台

マシニングセンタについて説明します。マシニングセンタで使用する工具は、通常図4のようにツールホルダを介して主軸に取り付けます。把握力や剛性、求心性、操作性、回転バランスなど、ツールホルダの種類により特長が異なりますので、加工目的に応じたものを選定する必要があります。

ツールホルダの一例(コレットホルダ)
図4:ツールホルダの一例(コレットホルダ)

精密な加工を行う際には、工具刃先の振れが小さくなるよう注意して取り付けます。その場合、ツールホルダは求心性の高いコレットホルダなどを使用します。コレットには精密級と超精密級の2種類があります。

各種コレット
図5:各種コレット

NC旋盤、マシニングセンタに共通することとして、工具のたわみ量が大きくならないように、工具はできるだけ短く取り付けます。工具のたわみが大きくなると、加工中に振動(びびり)が発生して精度不良や表面粗さの悪化、場合により工具の欠損や折損が発生します。

2)工作物の取り付け
工作物の取り付け冶具として、NC旋盤では三つ爪スクロールチャック、マシニングセンタではマシンバイスがよく使用されます。

NC旋盤で用いられる三つ爪スクロールチャックには、工作物を把握するための爪が必要です。図6に示すように、爪の種類は硬爪と生爪があります。硬爪は焼き入れされているため非常に硬く、成形せずにそのまま使用します。工作物の形状や寸法に合せた調整ができないため、おもに荒加工で使用します。一方、生爪は軟鋼やアルミ合金などでできており、工作物の直径に合うようにバイトで成形加工して使用します。再現性が高く、高精度な芯出しが可能であるため、おもに仕上げ加工で使用します。

硬爪(左)と成形された生爪(右)
図6:硬爪(左)と成形された生爪(右)

マシニングセンタでマシンバイスが使用できるのは、ブロック形状をした比較的小さな工作物の場合です。工作物が鋳物などの素形材になると、固定する位置が複雑になるため組立式冶具や専用冶具が必要となります。

工作物が大きく、マシンバイスに固定できない場合は、図7のようなクランプキットなどを使用します。

クランプキットの一例
図7:クランプキットの一例

3. ワーク座標系原点の設定

4. 各種補正値の設定

5. プログラムの転送

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全6回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 NCとは
  • 第2回 NC工作機械の種類とその特徴
  • 第3回 NCプログラム
  • 第4回 NCコード
  • 第5回 NC加工の段取り作業
  • 第6回 プログラムチェックから連続運転までのポイント

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