メカトロニクスのセンサ技術|メカトロニクスの基礎知識6

メカトロニクスの基礎知識
著者:株式会社プラチナリンク 代表取締役社長 西田 麻美

前回は、メカトロニクスにおける電気・電子回路技術を解説しました。今回は、センサ技術です。近年メカトロニクスにおいて、センサは至るところで使われています。センサという言葉は、英語のSensory(知覚の)から来ています。人間五感に相当し、メカトロニクスには不可欠です。

第6回「メカトロニクスのセンサ技術」を解説していきます。

基礎知識DL

1. センサとは

センサ技術は、機械やロボットを動作させる上で、必要な情報を収集するための技術です。センサは人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)に相当し、機械やロボットを動かすために複数を組み合わせて使います。人間の五感と相当するセンサを、図1 にまとめました。

人間の五感に対応するセンサ
図1:人間の五感に対応するセンサ

視覚(目)に相当するセンサは、メカトロニクスでは最も多く活用されています。その代表は、光センサと赤外線センサです。より高度なイメージセンサやカメラなどは、人間の目の機能により近い存在です。聴覚(耳)に相当するセンサの代表は、超音波センサです。超音波センサは音を感知するだけでなく、距離や位置の測定にも用いられています。触覚(皮膚)に相当するセンサの代表は、力覚センサと触覚センサです。力覚センサの代表にはひずみゲージがあり、触覚センサには圧力センサや圧覚センサなどがあります。視覚、聴覚、触覚に相当するセンサは、光、波、変位など、主に物理量を測定します。

一方で、味覚(舌)・嗅覚(鼻)に相当するセンサは、主として化学量を検出します。化学センサは、実用化されているものが少なく、次世代センサとして研究開発が進められています。メカトロニクスのセンサは、メカの運動や制御に必要な情報の検出を目的としています。よって、物理量を検出することがほとんどです。

2. センサの役割

センサには大きく分けて2 つの役割があります。一つは、対象の状態を検出すること。もう一方は、コンピュータが取り扱うことのできる信号に置き換えることです。

対象の状態の検出とは、メカが動いたときの動作や機械の周辺の状況(対象の状態)をセンサが感知し、その結果を出力することです。対象の状態を表す物理量には、力、速度、加速度、位置などがあります。物理量を感知した後、センサは物理量の特徴を、物理法則や効果を用いて変換します。例えば、電圧効果は、圧力を加えることで生じるひずみに応じて、電圧が発生します。触覚センサは、電圧効果を利用したものです。表1 に、センサにおける入出力の関係と、利用される物理的効果の一例をまとめました。

センサの入出力の関係と利用される物理的効果
表1:センサの入出力の関係と利用される物理的効果

2 つ目のコンピュータが取り扱うことのできる信号に置き換えるとは、何でしょうか? コンピュータが処理できるのは、電気信号なので、センサは電気信号を出力する必要があります。センサが検出する物理量はアナログデータであり、そのまま取り込むことができません。そこで、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D 変換が行われています。例えば、CdS(硫化カドミウム)セルというセンサは、光の入力に対して、連続的に変化する距離(アナログ値:10 進数)を検出します。これを、アナログ(10 進数)からデジタル(2 進数)へA/D(Analogto Digital)変換します(図2)。こうすると、コンピュータはデータを取り込むことができ、動作や制御に関する情報を処理することができます。その結果、コンピュータは、アクチュエータ側への命令を出力します。この概念はとても重要です。

アナログ値からデジタル値への変換
図2:アナログ値からデジタル値への変換

3. センサの具体例

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全9回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 メカトロニクスとは
  • 第2回 メカトロニクスの構成要素
  • 第3回 メカトロニクスのメカニズム技術
  • 第4回 メカトロニクスのアクチュエータ技術
  • 第5回 メカトロニクスの電気・電子回路技術
  • 第6回 メカトロニクスのセンサ技術
  • 第7回 メカトロニクスの制御技術
  • 第8回 自動化とロボット技術
  • 第9回 メカトロニクスとIoT、AIの連携

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