前回は、メカトロニクスにおけるアクチュエータ技術を解説しました。アクチュエータを制御するためには、指令を与える駆動回路や制御回路や電力を供給する電源回路が必要です。今回は、メカトロニクスの電気・電子回路技術を説明します。
第5回「メカトロニクスの電気・電子回路技術」を解説していきます。
1. 電気回路と電子回路
回路は、受動素子や能動素子の使われ方により、電気回路と電子回路の2 つに分類することができます(図1)。電圧・周波数に働きかける能力がなく、電圧や周波数などの変化に従う素子を受動素子といいます。受動素子の代表例は、抵抗、コイル、コンデンサです。これらを使って構成される回路が電気回路です。電源から与えられた電圧・周波数に、働きかける能力がある素子を能動素子といいます。能動素子の代表例は、IC やダイオード、トランジスタです。能動素子は、電圧や周波数などの制御、電気の増幅、エネルギー変換も可能です。受動素子と能動素子を組み合わせた回路が、電子回路です。
熱を発生させる電気ストーブを考えてみましょう。単純なスイッチのON、OFF は、電気回路のみで作れます。室温に合わせて出力の強弱を付けるなど、動作を制御するなら電子回路も必要になります。メカトロニクスでは、電気回路と電子回路の両方を活用します。
2. アナログ回路とデジタル回路
電気・電子回路が扱うのは、電気信号です。電気信号には、アナログ信号とデジタル信号があります(図2)。アナログ信号は、波のように連続した値を取ります。例えば、メカトロニクスで取り扱う値には、長さ、重さ、力、電圧、電流などがあり、これらの物理量は連続量です。一方、デジタル信号は0と1 の2 つの値を取り、これらは離散量です。デジタルでは、0.5 という値は、0 か1 のどちらかに振り分けられます。振り分ける基準値をしきい値といいます。例えば、0 と1 の中間にしきい値を設定した場合、0.5 以上であれば1、0.5 未満であれば0と判別されます。
アナログ信号を扱うアナログ回路では、回路の物理量(電圧や電流)の連続的な変化を利用して、情報(信号)処理を行います。デジタル信号を扱うデジタル回路は、物理量がしきい値より大きいか小さいかで、1 か0 かを判定します。デジタル信号は、アナログ信号に比べて再現性に優れており処理しやすいので、コンピュータの演算はデジタルで行われます。
3. A/D 変換とD/A 変換
4. 駆動回路と制御回路
全9回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 メカトロニクスとは
- 第2回 メカトロニクスの構成要素
- 第3回 メカトロニクスのメカニズム技術
- 第4回 メカトロニクスのアクチュエータ技術
- 第5回 メカトロニクスの電気・電子回路技術
- 第6回 メカトロニクスのセンサ技術
- 第7回 メカトロニクスの制御技術
- 第8回 自動化とロボット技術
- 第9回 メカトロニクスとIoT、AIの連携