前回は、メカトロニクスの概要と変遷について紹介しました。今回は、メカトロニクスの構成要素と設計時の注意点を解説します。メカトロニクスは、メカ・エレキ・ソフトの組み合わせで構成されています。それぞれの役割や組み合わせ時の注意点を知ることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
第2回「メカトロニクスの構成要素」を解説していきます。
1. 人間と機械システム
システムとは、何らかのエネルギーや情報を入力することで機能し、動作や情報を出力する仕組みです。人間は食べ物を摂取し、外界の情報を見て考え、行動を起こすので、一種のシステムと捉えることができます。機械システムも、エネルギーを得ると、外界の情報をセンサで感知し、コンピュータによって判断を行い、作業を実現します。人間と機械システムは、システムという点では同じです(図1)。
メカトロニクスは、機械システムであり、主に6 つの要素から構成されています。図2 のスカラロボットを参考に、各要素を見ていきましょう。
メカニズムは、ある動きを可能にする機構・構造で、人間の骨格に相当します。アクチュエータは、機械を動かす駆動部で、人間の筋肉に相当します。電気回路や電力源は、機構や駆動部に情報や電力を流し、人間の神経・内臓に相当します。センサは、機械の動きを計測し、人間の感覚器官である目・鼻・耳・口・皮膚に相当します。コンピュータは、動きを制御するために計算や判断を行い、人間の頭脳に相当します。制御技術(アルゴリズム)は、どのように動くか判断し、人間の思考に相当します。メカトロニクスでは、これらの複数の要素を円滑に機能させる必要があります。
2. メカトロニクスを支える3分野
メカトロニクスは、メカ、エレキ、ソフトという分野で構成されています。メカトロニクス製品を作る上では、この3 分野の組み合わせやバランスが、大切です(図3)。
メカニズムは、機械工学の領域で、機構と構造を綿密に組み合わせ、運動などの機械的作用も考えます。エレクトロニクスは、電気・電子工学の領域で、信号・アクチュエータ・電源・配線などの整合性を考えます。またエレクトロニクスは、メカニズムとソフトウェアを仲介する役目も担います。機械分野と電気分野は、ハードウェアに関する技術です。
ソフトウェアは、エレクトロニクスの応用技術で、情報工学や制御工学の領域です。通信・ネットワークなど、新しい分野と融合しやすく、その技術は次から次へと移り変わります。近年では、コンピュータが飛躍的に進歩し、システムにおけるソフト開発の占める割合が増えています。そして、製品の優劣は、ソフトウェアの質に左右される傾向が強くなっています。メカトロニクス製品を作る上では、メカ・エレキ・ソフトの要素を理解して選定し、適切に組み合わせることが重要です。
3. メカトロニクス製品設計の注意点
全9回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 メカトロニクスとは
- 第2回 メカトロニクスの構成要素
- 第3回 メカトロニクスのメカニズム技術
- 第4回 メカトロニクスのアクチュエータ技術
- 第5回 メカトロニクスの電気・電子回路技術
- 第6回 メカトロニクスのセンサ技術
- 第7回 メカトロニクスの制御技術
- 第8回 自動化とロボット技術
- 第9回 メカトロニクスとIoT、AIの連携