前回は、保護具を用いた機械安全のリスク低減方策を説明しました。今回は、安全教育の観点から、リスク低減方策を解説します
第4回「教育による残留リスクの低減」を解説していきます。
第4回もくじ
1. 安全教育の必要性
近年、機械設備の高エネルギー化や、生産設備の高度化が進み、作業者を取り巻く環境は大きく変化しています。それに伴い、労働災害も多様化しています。図1 は、製造業における作業者の不安全な行動と、死傷者数の内訳を示したものです。災害発生の根本的な原因を見ると、多くの場合、設備の不安全状態(事故が発生しうる状態・事故の発生原因が作り出されている状態)と、人間の不安全行動(意図的に人間の安全を脅かす可能性のある行動を行うこと)が関係しています。
人による誤った動作や不安全な行為による事故は、機械設備側に本質的な安全方策を施すことより、防ぎます。これがフェールセーフの考え方です。人はミスをすることを前提に、フールプルーフや機械のフェールセーフは設計されます。
一方、作業現場では、非定常作業(保守作業やトラブル対処など、通常の作業と異なる作業)や再起動の確認など、人に委ねられる作業がなくなることはありません。安全構築には、フェールセーフと同様に、人に対する安全教育が重要です。また、不安全行動は、作業者の知識や経験、技能の不足に起因することが多く、事業者には、安全衛生教育、就業制限、中高年齢者の適正配置が義務付けられています。
2. 法的な安全衛生教育
事業者は労働者を雇い入れたときや、作業内容を変更したとき、危険または有害な業務に就かせるときには、従事する業務に関する教育を行うことが義務付けられています(労働安全衛生法第59 条)。
雇い入れ時の安全衛生教育
労働者を雇い入れたときは、遅滞なく、8つの事項について、教育を行なわなければなりません(労働安全衛生規則第35 条)。
・安全装置、保護具などの性能および取り扱い方法
・作業手順に関すること
・作業開始時の点検に関すること
・機械、原材料などの危険・有害性および取り扱い方法
・事故時の応急処置および避難に関すること
・業務により発生する恐れのある疾病の原因および予防に関すること
・整理・整頓・清潔の保持に関すること
・その他、安全衛生に関する必要事項
危険・有害な業務に関する教育(特別教育)
事業者は、労働者を危険または有害な業務に就かせるときは、その業務に関する安全または衛生のための特別教育を行わなければなりません(労働安全衛生法第59 条、労働安全衛生規則第36 条)。特別教育を必要とする業務には、アーク溶接や小型車両系建設機械の運転など計49 種があり、労働安全衛生規則第36 条に規定されています。事業者は、特別教育を行った受講者や科目などについて記録を作成し、3年間保存しなければなりません。
3. 安全教育の種類
4. 一般教育と現場監督者教育
全7回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 機械安全のリスクアセスメント
- 第2回 機械安全のリスク低減
- 第3回 保護具による残留リスクの低減
- 第4回 教育による残留リスクの低減
- 第5回 訓練による残留リスクの低減
- 第6回 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)
- 第7回 労働安全衛生法と安全配慮義務