図面とは|機械製図の基礎知識1

機械製図の基礎知識
著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子

近年、3DCAD による設計製造プロセスの合理化が進められています。3DCAD では、3D モデルから2 次元図面を作成でき、製図作業は楽になりました。しかし、3D モデルを2 次元化しただけでは、図面とは呼べません。図面は、設計者の意図を伝える手段です。製造に必要な情報を的確に指示しなければなりません。本シリーズでは、10 回にわたりJIS 機械製図の基礎知識を解説します。初回となる今回は、製品開発における図面の役割を紹介します。

第1回「図面とは」を解説していきます。

基礎知識DL

1. 設計の流れと製図

図1 は、製品開発の一般的な流れを示します。設計者が描き起こした図面を中心にものづくりが行われ、全体を通して、図解力と製図力の2つが求められています。

製品開発の流れ
図1:製品開発の流れ

設計者にとって必要な図解力とは、頭の中のさまざまなアイデアを具現化する能力です。また、製図力とは、製造に必要な情報や設計意図を適切に伝えるための図面を作成する能力です。なお、製品開発プロセスには、設計者以外のさまざまな関連部門のエンジニアが存在します。このようなエンジニアにも、設計者が描いた図面を理解するための図解力が求められます。

図解力=平面と立体を頭の中で自由自在に変換できる能力
製図力=設計の機能や組み立てを知り、基準を明確にした図面を正しく描く能力

この2つの基礎をしっかり学ぶことで、エンジニアとしての思考力が向上します。また、製品開発プロセスに関わる全ての人に、正しい情報を伝えられるよい図面を描けるようになります。

2. ISOとJIS

モノづくりに携わっている読者の皆さんは、ISO やJIS という名称を聞いたことがあると思います。

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、国際規格を策定するための非政府系独立組織です。略称のISO は、ギリシャ語で平等を意味するisos に由来するといわれています。ISO が策定した国際規格(ISO 規格)には、ISO 9001(品質管理システム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)、ISO 12001(安全管理)などの種類があります。

一方、JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)は、産業標準化法(JIS 法)に基づき、全ての工業製品について定められる日本の国家規格です(2019 年7 月1 日付で、JIS は日本工業規格から日本産業規格へ、またJIS 法は工業標準化法から産業標準化法へ変更されました)。規格に適合した鉱工業品には、JIS マークが付されます(図2)。

鉱工業品JISマーク
図2:鉱工業品JISマーク

JIS の定める機械製図は、JIS B 0001(JIS 製図)に制定されています。JIS 製図には、図面を作成するときの基本事項、つまり、決まり事が記載されています。

図面には、誰が見ても同じものを作ることができる共通性が必要です。その共通性を図るために、JIS製図が存在します。また、企業活動のグローバル化に伴い、設計・製図分野では国際的な標準化が進められています。JIS 規格も国際標準に準ずるように定期的に改訂が加えられています。

多くの企業では、図面の描き方について、ある部分では企業独自のルールがあり、またある部分では漠然と個人の判断に任せています。これらの基準となるものがJIS の定める機械製図です。これを基礎知識として習得し、皆さんの描く図面と異なる部分があるか比較しても面白いでしょう。

基礎知識DL

3. 図面の役割

皆さんは、折り紙を折るとき、寸法や形状をどの程度意識するでしょうか?折り目が多少ずれたりして形状がおかしくなっても、誰からも文句を言われることはありません。しかし、これが製品に使用する部品だと、そうはいきません。寸法が狂っていたり、おかしな形状になっていたりすれば、不良品になります。そのため、加工者は、正確に部品を作ろうと努力します。その際の指標となるのが図面です。

図面の役割は、設計者の設計意図を、図形や文字を使い、紙面に表して第三者に伝えるということです。加工者の立場からすれば、加工に必要な情報を、もれなく正しく受け取るための手段が図面ということになります(図3)。

図面の役割
図3:図面の役割

以下に、加工に必要な具体的な情報を示します。もし自分が加工者の立場なら、最低限このくらいの情報が必要ではないでしょうか?

1. 形状、寸法
2. 材料の種類(鉄、アルミなど大ざっぱな表現ではなく、材料記号で表す)
3. 許容差(図面上の寸法と実物の仕上がり寸法との許される最大値と最小値)
4. 表面粗さ(加工後の肌の状態)
5. 表面処理の種類(どんなめっきや塗装をするのか。膜厚はどのくらいか)

図面では、こうした情報もJIS 製図の決まり事であるJIS B 0001にのっとって表します。このように、製図作業では、第三者が求める情報を、正確に、簡潔に、分かりやすく表すことに注意しながら図面を作成しなくてはいけません。

いかがでしたか? 今回は、製品開発における図面の役割と、設計・製図に必要な基本要素を紹介しました。図面とは設計者の思いを伝える手段であり、よい図面を描くためには、図解力と製図力が必要です。そして、誰もが同じ解釈ができるように、JIS 製図の作法にのっとった図面を描くことの重要性が理解できたと思います。次回は、投影図の描き方を解説します。お楽しみに!

全10回で下記の内容を解説しています。

  • 第1回 図面とは
  • 第2回 投影図の描き方
  • 第3回 加工と投影図の向き
  • 第4回 特殊な図示法1
  • 第5回 特殊な図示法2
  • 第6回 寸法記入に関する決まり事
  • 第7回 寸法補助記号1
  • 第8回 寸法補助記号2
  • 第9回 寸法の配列
  • 第10回 寸法記入思考

第2回~第10回の続きはこちらより資料をご覧ください!

基礎知識DL

  • 資料ダウンロード

    これさえ読めば簡単に利用できる
    「3分でわかるイプロス無料出展会員」

  • 無料掲載

    イプロスで製品・サービスをPR
    無料掲載のお申し込みはこちらから