機械設計において、標準・規格は、無視できない重要な存在です。一般的な標準・規格は、JIS(日本工業規格)やISO(国際標準規格)などです。この他にも、企業規格など多くの標準・規格が存在します。最終回の今回は、機械設計の規格とリスクマネジメントについて説明します。
第8回「機械設計に関する規格とリスクマネジメント」を解説していきます。
第8回もくじ
1. JIS 規格とISO 規格
規格とは、国や地域などで標準化を通じて制定された取り決めのことです。標準化の審査が通れば、新しい優れた技術を市場に普及させることができます。しかし、そのためには厳しい審査をパスしなければなりません。
JIS 規格(通称:ジス)は、機械系でなじみが深い規格です。ねじの寸法や形状、工具類の呼び寸法やサイズなどが、JIS 規格で定められています(図1)。もし、ねじの直径・長さ・ねじ山の高さなどの寸法や、ねじ頭の形状が異なっていたらどうなるでしょうか? 製品を組み立てることができない、性能にばらつきが生じるといったトラブルにつながります。しかし、JIS合格品のねじを用いれば、M3(メートルねじ直径3mm)、M4 と指定するだけで、同じサイズ・同じ品質のねじを、大量に安く入手できます。自社でねじを作るよりも簡単で低コストです。
さらに、長さ(m)や質量(kg)などのSI 単位もJIS 規格で制定されています。SI 単位は、7つの基本単位と接頭語で構成されています。
7 つの基本単位は、長さ(m)・質量(kg)・時間(s)・電流(A)・熱力学温度(K)・物質量(mol)・光度(cd)です。また、接頭語とはキロ(k)やセンチ(c)などです。7 つの基本単位を組み合わせて作る単位をSI 組立単位と呼び、全ての物理用語はSI 組立単位で記述することができます。
機械図面の書き方も、JIS B 0001 機械製図で規定されています。図面による情報伝達が正しくないと、意図しない製品が出来上がります。そこで、設計者の意図を図面から正確に読み取れるように、設計から生産まで統一したルールを定めています。例えば、JIS B 0001 機械製図では、投影図は第三角法で描くように定められています。第三角法とは、正面図(前から見た図)、平面図(上から見た図)、側面図(横から見た図)から構成されています(図2)。
第三角法で図面を書く際、注意すべき点は3 点あります(図3)。
・正面図には、製品の形状や機能が最も分かりやすい代表的な面を描くこと
・正面図の真上に平面図、正面図の真横(普通は右側)に側面図を描くこと
・軸や板のように、正面図に全てを描き表せる場合は、2 方向からの図面を省略してもよい
機械製図は、図形の表し方から機械要素の図示法まで、JIS B 0001 機械製図やJIS Z 8310 製図総則などによって細かく決められています。そのため、機械設計では規格を意識して作業する必要があり、どのような規格があるかは、図面を描く前に把握しておきましょう。JIS 規格は基本規格・方法規格・製品規格の3 つに分類されており、JISC(日本工業標準調査会)のウェブサイトで閲覧することができます。
同様に、ISO(通称:イソまたはアイエスオー)規格があります。ISO は、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関International Organizationfor Standardization(国際標準化機構)の略称です。国際間の取引をスムーズに行うために、世界中で同品質・同レベルの製品やサービスを提供するという趣旨のもとで定められた国際的な基準です。身近な例として、非常口のマーク(ISO 7010 Safety Signs)や身分証明書カードのサイズ(ISO/IEC 7810 Identification Cards)などがあります(図4)。
一方、製品そのものではなく、組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組みにも、ISO 規格が適用されています。これらはマネジメントシステム規格と呼ばれ、品質マネジメントシステム(ISO 9001)や環境マネジメントシステム(ISO 14001)などが代表的です。表1 に、ISO規格が適応されたマネジメントシステムの主な種類とその目的をまとめました。
2. 機械設計のリスクマネジメント
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 機械設計とは
- 第2回 機械設計のプロセス
- 第3回 機械設計に必要なスキルと知識
- 第4回 機械製図の3つの役割
- 第5回 機械構造を支える部品
- 第6回 機械の運動に関わる動力伝達要素
- 第7回 メカトロニクスを支える部品
- 第8回 機械設計に関する規格とリスクマネジメント