機械設計のプロセスは、一般的には、1:要求仕様の作成、 2:構想設計、3:基本設計、 4:詳細設計の工程順に進めていきます。また、各工程ではデザインレビュー(DR)と呼ばれる設計審査を行います。今回は、機械設計の各プロセスとDR の進め方について、説明していきます。
第2回「機械設計のプロセス」を解説していきます。
第2回もくじ
1. 製品企画・要求仕様の作成
製品企画では、顧客の要望を的確に把握することが大切です。設計を円滑に進めるため、機械設計者は顧客にヒアリングを行い、専門家という立場から要望を的確に把握することが求められます。ヒアリングでのやり取りをドキュメントにまとめたものが要求仕様です。機械設計の初めの一歩は要求仕様の作成です。要求仕様には、その製品がどうあるべきか、目的は何かなどの概要をはじめ、以下のような項目も盛り込みます。
・どのような設計的対応をするのか?
・どのくらいの開発期間か?
・どの程度の費用がかかるのか?
・どのくらいの設計範囲(スペック)か?
・注意事項(リスク)・課題は何か?
そして、作成した要求仕様書を顧客へ提示し、要望に沿っているかどうかを確認してもらいます。必要があれば顧客と擦り合わせをした上で、構想設計へと進みます。
要求の項目に記入する際は、「できるだけ軽く」という抽象的な表現ではなく、「質量500[kg]」のように数値や単位を使って表現し、その設定根拠も記載します。仕様書の内容があやふやなままでは、後工程の段階になって設計ミスが発覚し、手戻りやトラブル発生の原因となります。そのため、機械設計者にはヒアリング結果を定量的に仕様書に落とし込む技術が求められます。また、要求仕様は、設計の指示書として活用されます。決定した指示書通りに設計を進めていても、途中で設計変更や修正など発生することもあります。その際には、変更点を関係者にすみやかに連絡し、慎重に次工程へと進めていきます。
2. 構想設計
要求仕様が決定すると、構想設計に入ります。構想設計では、要求仕様を具体化し、どのように実現するのか決定します。機械を動かすための駆動方法をはじめ、形状を決定する場合には、サイズ、重量、コスト、精度、保守性、耐久性、使用環境や使用条件などをよく検討し、概略の仕組みや構造をまとめます。構想設計の段階では、新しい技術などを取り入れて技術革新を図ることも重要です。性能を大きく左右するような機構部は、機械要素の組み合わせやエレキ、ソフトのバランスに考察して、設計に無理が生じないように注意を払います。
構想設計段階では、設計者のアイデアや製品のイメージを第三者に分かりやすく伝えるために、ポンチ絵や手書き製図を描くことが有効です。アイデアやイメージを形に表すことで、メリット・デメリットがその場で見えやすくなり、解決しなければならない課題をあらかじめ把握することができます。
構想設計のミスによる手戻りは、最初からやり直しになることが多く、納期遅延を防ぐためにも避けなければなりません。複雑な設計になればなるほど、設計変更を誘発し、手戻りの可能性が高くなるため、十分な検討が必要です。要求仕様の具体化には、さまざまな方法・選択肢があります。その中から見込みのあるもの、前例のあるものに照らし合わせることで、大きなミスを防ぐことができます。一方で、差し当たり配置して可能性を探るというように、自由な発想で検討もされます。その際には、2D CAD や3D CAD を適宜用いて、実現の可能性を総合的に検討することも大切です。
3. 基本設計
4. 詳細設計
5. デザインレビュー(DR)
全8回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 機械設計とは
- 第2回 機械設計のプロセス
- 第3回 機械設計に必要なスキルと知識
- 第4回 機械製図の3つの役割
- 第5回 機械構造を支える部品
- 第6回 機械の運動に関わる動力伝達要素
- 第7回 メカトロニクスを支える部品
- 第8回 機械設計に関する規格とリスクマネジメント