前回は、材料の加工に用いられる工作機械の種類を紹介しました。今回は、工作機械の構造と特徴を、立て形と横形に大別して解説します。
第3回もくじ
1. 立て形の利点と欠点
工作機械は、主軸が装備されている向き(方向)によって立て形と横形の2種類に大別されます。立て形は主軸を地面に対して垂直方向に装備されています。通常、ボール盤やフライス盤、マシニングセンタが該当します。図1は、立て形工作機械の加工の様子です。立て形の利点は、まず、テーブルに取り付けた材料の上面を切削工具で削るため、加工図面と切削位置の相対的な関係が一致し、操作感が得られやすく加工ミスが少ないこと。そして、主軸が上下に動くため、切削工具の刃先と材料の接近距離を把握しやすいこと。小型で省スペースに設置できることが挙げられます。
一方、欠点としては剛性の問題が挙げられます。立て形の多くはコラムが主軸頭を支える構造で、切削工具を取り付ける主軸がテーブルの上側に張り出した片持ち形状になるため、主軸頭を支えるコラムには剛性(頑丈さ)が求められます。剛性は、曲げやねじりといった外力に対する変形のしにくさを表す指標で、外力に対して変形が小さい場合には「剛性が高い」、変形が大きい場合には「剛性が低い」と表現されます。コラムの剛性が低い場合には、切削時に発生する切削抵抗によって主軸頭が跳ね上がって振動が生じるため、加工精度が悪くなります。
また、加工時に発生する切りくずが材料やテーブル上に堆積(たいせき)しやすく、切りくずを噛(か)み込むトラブルが発生しやすいため、圧縮エアーなどで切りくずを随時取り除く必要があります。
2. 横形の利点と欠点
横形は、主軸を地面に対して水平方向に装備されています(図2)。横形には、旋盤や研削盤があります。横形の利点は、加工作業の自動化に適していることです。切りくずは、自動化を阻害する主要因の一つです。横型は、重力により切りくずが切削点の下側へ落下するよう設計されており、切りくずや材料がテーブル上に堆積しにくく、切削時に噛み込む確率が少なくなるように考えられています。
欠点は、切削工具が作業者の目線に対して横を向いているため、切削工具と材料の距離関係が把握しにくく、それが原因で、加工ミスが生じやすくなること。また、立て形と比べて、作業の段取りが難しく本体が横長になるため、設置スペースが大きくなりやすくなることが挙げられます。
3. マシニングセンタの構造
全6回で下記の内容を解説しています。
- 第1回 工作機械とは
- 第2回 加工の工作機械の種類
- 第3回 工作機械の構造と特徴
- 第4回 工作機械の歴史
- 第5回 工作機械に求められる機能と性能
- 第6回 工作機械の未来